Suicide Painting XXVI

Courtesy the Artist, and Massimo De Carlo Gallery Milan/London/Hong Kong. Copyright the Artist.

Rob Pruitt | ロブ・プリット
Suicide Painting XXVI
2014
274.3 x 205.7 cm
acrylic on linen

アメリカ出身のプリットは作品を通じて日常生活の経験を政治的、社会的な側面と関連付け鑑賞者に問題提起をするポスト・コンセプチュアルアーティストです。

オレンジ、黄色、薄緑、水色が互いに混ざり合うフチに囲まれた、灰色のグラデーション。パステルカラーで描かれた外側部分は絵でありながら、また額縁のようにも見えます。灰色はその鮮やかな額縁によって反対にダークさを増し、作品の色は見る場所、周囲の明るさによって常に変わり続けるようです。この作品の四角形、また光沢感はテレビ画面のような印象を受けます。灰色のグラデーションはテレビのカラーバーのようで80年代、90年代の生活へのノスタルジアを表しているのかもしれません。一方でタイトルの「自殺」は、テレビが連想させるエンターテイメント性とは対比するような、生と死の問題についても問いかけているようにも感じられます。

プリットの作品の多くは人物や動物が描かれている中、この作品は抽象的で、様々な色のグラデーションは人間の移り変わる感情を描写しているように感じさせます。それはデジタル社会で生きる私たちの空虚な心を映し出し、そこからアイデンティティーについて考えさせているのかもしれません。

(解説 & 翻訳:宇治田 麻子)