Born 1948 in Tokyo, Japan
Lives and works in New York and Tokyo

杉本博司は1948年に東京に生まれ、国内の大学で広報研究会に属してポスターデザインの制作を行い、卒業後、1970年ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学ぶ。1974年に卒業して、ニューヨークに移住、1976年ニューヨーク近代美術館の写真部の企画に、シリーズ「ジオラマ」の一点を持ち込み、買い上げられる。このシリーズは、ニューヨークのアメリカ自然史博物館の古生物や古代人を再現したジオラマを撮ったもの。両目で見るとジオラマの遠近感をとらえてしまうが、カメラによる片目の視線だとリアルに見えてくることにより、写真がいつも真実を写すという観念を覆す。次に取り組んだシリーズが「劇場」で、映画館やドライブイン・シアターのスクリーンを、上映時間中シャッターを開放しておくことで、その間の劇場風景と共に撮影するもの。
次に1980年から開始されたのが、本作を含む「海景」シリーズである。人間の見ることのできる共通・普遍の風景を考えた結果、海の風景を撮影するに至ったという。大判のカメラで水平線が中央になるよう空と海を大きめにとって、余計な意味が付加されないよう撮影されている。カリブ海、死海、バルト海など世界中の海をめぐり同一手法で撮影されており、シリーズとしての共通性を持っている。そうしたミニマルな形態を持ちながら、それぞれの海が見せる表情には違いがあり、個性を感じさせてくれる。(岐阜県美術館 学芸員 西山恒彦、Gifu)