Stefanie Gutheil | ステファニー・グッタイル

1980年ドイツ、ラーベンスブルク生まれ
現在ドイツ、ベルリンを拠点に活動

ステファニー・グッタイルは1980年、ドイツ、ラーベンスブルクで生まれ、ベルリン芸術大学在学中から展示に参加し、2007年同大学を修了、現在、ベルリンを拠点に活動している。
彼女が描く魑魅魍魎の世界は、現代的な舞台背景と、漫画のキャラクターのようなかわいらしさとが同居しているため、陰鬱さも怖気もない。加えて、地獄のような世界の奥底にまで光が届き、影さすところがない。ルネサンス期のフランドル派の巨匠ヒエロニムス・ボスのように、すべてが照らし出された場面に、残虐な光景が広がっている。また、怪物がしばしば描かれてきたドイツ表現主義を継承しているとも言える。描き方からもドイツ表現主義との共通点が言えて、彼女は荒々しい筆遣いと色彩で表現し、絵具をつけた自分の指の跡を残している。さらに、コラージュも施され、ストライプなどのパターンが加わり、そのビル群は、グラフィティが描かれているような、現代的な都市像である。怪獣が虚栄の都市を破壊するパニック映画のように、閉鎖的に取り囲む現実世界とその崩壊とを心の中の一場面として思い描いている。彼女が言うように、「私たちの心のどこか、意識の占めているどこかに潜んでいる、そうした場面がある」ということだろう。タイトルとなっている「Kopftheater」は「心の中の劇場」という意味。日頃、彼女の目に映る世界には、様々な登場人物が化け物に置き換えられ、ところ狭しと暴れ回っていることだろう。(岐阜県美術館 学芸員 西山恒彦、Gifu)

Mike Weiss Gallery

Kopftheater

Stefanie Gutheil | ステファニー・グッタイル