海外アートマーケットNews Picks!!:2021年2月
この数年黒人作家(特にアフリカ系アメリカ人)の評価がどんどん上がってます。コレクターも増えているようです。
美術館では財政難から解雇や作品売却の話題がある中、アートマーケットでは活況となっており不均衡が浮き彫りなこの頃です。NFT(代替え不可能トークン)は、新たな価値を提供しそうですね。
■海外アートニュース
アメリカでは9月の時点で、アート業界の失業率は国全体の失業率の最大で6倍にも達している。10都市の市長はバイデン政権に対して救済処置を講ずるよう声をあげている(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/mayors-call-for-biden-arts-bailout-1940406
新しいレポートは、英国のアート業界の人たちが昨年から開始された新しいマネーロンダリング規制に不本意ながら受け入れていることを示している(artnet)
https://news.artnet.com/market/uk-art-market-regulation-1941147
アンジェリーナジョリーが所有しているウィンストンチャーチルが第二次世界大戦中に描いた絵画を3月1日クリスティーズのオークションに出品した。価格は$3.1Mは行くだろうと予測(artnet)
https://news.artnet.com/market/churchill-painting-angelina-jolie-christies-1940869
新しい「黒人(アフリカ系アメリカ人)アート」ドキュメンタリー:”Black Art: In the Absence of Light”は、美術史家のデイヴィッドC.ドリスケルの研究への深い賞賛となっている。昨年夏にコロナと関連した病気で亡くなった。彼は1976年に”アメリカ黒人アーティストの200年”という展覧会を企画し、これは今日まで様々な点で重要な展覧会と位置付けられている。その後の研究などについて。放送は2月9日からHBO Max(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/black-art-in-the-absence-of-light-hbo-documentary-review-1234582688/
昨年亡くなったジャンクロード クリストの個人手帳が出版された。1960年代初頭不法移民として3年間過ごしその後NYにて様々なアーティストと交わった。特にアンディー ウォーホールとも親密で食事や映画などによく出かけていた。手帳には、”アンディーウォーホールへ電話”といったメモも(The Guardian)
https://www.theguardian.com/artanddesign/2021/feb/07/christo-diary-extracts-call-andy-warhol-published-to-promote-auction
パンデミックの影響で財政難にあるメトロポリタン美術館は約160億円の支払いが待ち受けている。解決策として所蔵品の売却を検討し、オークションハウスと打ち合わせを始めている。これまでは売却基金は新規作品購入のみ利用可能であったが、これからはコレクションの維持するために直接発生した費用についても利用できるようガイドラインの変更の可能性を話し合っている(The New York Times)
https://www.nytimes.com/2021/02/05/arts/design/met-museum-considers-selling-art.html
米国自動車大手フォードの創業家ファミリーが所有する家具や調度品など650点以上の美術品が3月30日にクリスティーズでオークションにかけられる(Bloomberg)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-02-08/christie-s-kathleen-duross-ford-estate-auction-offers-over-650-lots?srnd=pursuits-culture
[ムンクの叫び]に"Can only have been painted by a madman"という作家自身が描いたとする文字を新たな分析で発見した(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/munch-the-scream-study-handwriting-1234584285/
デジタルのGIFアニメ「Nyan Cat」が$560,000(約5,900万円)で落札された。これまで人々は美術品や野球カードなど物理的な商品に感情や美術史的な価値を付け、高額なお金を支払ってきた、しかしデジタル画像をNFT(代替え不可能なトークン)に登録することで、固有性が付加され新たな価値を生んでいる(The New York Times)
https://www.nytimes.com/2021/02/22/business/nft-nba-top-shot-crypto.html
米国の美術館は、コレクション維持の為に作品の売却をするべきではない。
という2009-2017までメトロポリタン美術館ディレクター、現在サンフランシスコ美術館ディレクターのトーマス・キャンベルの長文コメント。これまでは新規作品購入基金創出の為の作品売却であったが、コレクション維持にかかる費用創出の為とガイドラインの枠組みを広めようとしていることに警鐘。パンドラの箱を開けてしまう気がするが、自分は考え過ぎか?と(Apollo Magazine)
https://www.apollo-magazine.com/american-museums-deaccessioning-operating-costs-thomas-campbell/
建築家 安藤忠雄はフランソワ・ピノーの新美術館(旧証券取引所)をいかに転換させたか(Architectural Digest)
https://www.architecturaldigest.com/story/architect-tadao-ando-transformed-paris-bourse-de-commerce
2020年10月英国ノッティンガムに現れたバンクシーの新作は、幾つかの寄贈先との交渉がまとまらず、ブレントウッドのブランドラー ギャラリーに売却された(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/banksy-hula-hooping-mural-nottingham-sold-1234584051/
奈良美智は12年間の海外生活から日本に帰りどのようにしてスタイルを変換したか。そしてひたすら上昇する彼の作品価格について(artnet)
https://news.artnet.com/market/yoshitomo-nara-market-1944355
ホイットニー美術館は財政難の為、11部門中合計15人を解雇した。米国での美術館職員の解雇はまだ継続する模様(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/whitney-museum-lays-off-15-employees-1945672
サイモン デ ピュリー(前フィリップスのオーナー)が語る、なぜインスタグラムがアート産業のプラットフォームになりえたか(artnet)
https://news.artnet.com/opinion/simon-de-pury-instagram-1945211
奈良美智による最初のファッション コラボレーションはステラ マッカートニーと(Galerie Magazine)
https://www.galeriemagazine.com/yoshitomo-nara-stella-mccartney/
作家ラシッド ジョンソンの今までに最大の作品がNYの複合ビルのロビーに飾られている。以前は美術館展示室でしか見れなかったミュージアム クオリティーの作品を屋内のパブリックアートへ展示する試みが増えている(Interior Design)
https://www.interiordesign.net/articles/18905-artist-rashid-johnson-s-largest-work-to-date-is-installed-inside-brookfield-place/
コロナの行動規制を緩めたイタリアでは、美術館も静かに再開し普段は観光客で埋まっている館内も地元のビジターがゆっくりと作品を見ている(The Guardian)
https://www.theguardian.com/world/gallery/2021/feb/24/art-unlocked-italys-museums-quietly-reopen-in-pictures
シアトルの故Jane Lang Davis and Richard Langが蒐集した近代絵画のコレクション19点がシアトル美術館へ寄贈された。マークロスコ、ヘレン フランケンサーラー、フランシス ベーコン他。作品と共に$10,500,000(約11億円)を寄付。この基金はコンテンポラリーアート作品のコンディション保全基金へ(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/seattle-art-museum-yale-friday-foundation-gift-1234584669/
欧米の富裕層はプライベートバンクから絵画を担保に多額の融資を受ける件数が増加している。あるエキスパートによると、アートローン市場は42兆円規模の可能性がある。リスクは貸し手がアートローンを投資家に再販していること。投資家は本当にリスクを理解しているのか?アートマーケットは、非常に非流動的で不透明で気まぐれな市場(CNBC)
https://www.cnbc.com/2021/02/25/the-wealthy-are-borrowing-billions-against-their-art-collections-.html
英国ビクトリア&アルバート美術館は、財政難の為大掛かりな人員削減案を近日中に発表する予定。これには学芸員や修復家も含まれる。(ArtReview)
https://artreview.com/staff-at-londons-va-fear-major-redundancy-plan-is-imminent/
■コンテンポラリーアート 海外オークション情報
テキサスのコレクター 故アン マリオンのコンテンポラリーアートコレクションが、今春サザビーズNYのオークションに出品。予想落札総額$150,000,000(約160億円)(Art Market Monitor)
https://www.artmarketmonitor.com/2021/02/24/collection-of-texas-heiress-anne-marion-expected-to-fetch-150-m-at-sothebys/
■海外オークション スケジュール
3月3日 サザビーズ ロンドン コンテンポラリーアート
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2021/contemporary-art-london
3月3日 フィリップス NY NewNow
https://www.phillips.com/auctions/auction/NY010121
3月9日 クリスティーズ NY Post-War to Present
https://www.christies.com/en/auction/post-war-to-present-19808-nyr/overview
3月9日(より入札開始) サザビーズ ロンドン BANKSY(オンラインセール)
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2021/banksy?locale=en
3月11日 クリスティーズNY FirstOpen(オンラインセール)
https://onlineonly.christies.com/s/first-open/lots/2007
3月12日 サザビーズ パリ NOW!
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2021/now
3月16日 クリスティーズ ロンドン BANKSY(オンラインセール)
https://www.christies.com/en/auction/banksy-i-can-t-believe-you-morons-actually-buy-this-sh-t-20157-cks/overview
3月23日 クリスティーズ ロンドン イブニングセール
https://www.christies.com/en/auction/20th-century-art-19586-cks/
3月23日 フィリップス ロンドン Out of the Blue: the Enea Righi コレクションセール
https://www.phillips.com/auctions/auction/UK010621
3月23日 フィリップス ロンドン 20世紀&コンテンポラリー デイセール
https://www.phillips.com/auctions/auction/UK010221
3月24日 フィリップス ロンドン 20世紀&コンテンポラリー イブニングセール
https://www.phillips.com/auctions/auction/UK010121
3月25日 クリスティーズ ロンドン コンテンポラリーデイセール
https://www.christies.com/en/auction/post-war-and-contemporary-art-day-sale-19587-cks/
著者
大胡 玄 (おおご げん)
大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立