海外アートマーケットNews Picks!!:2023年8月前半

■海外アートニュース

「没入型ファン・ゴッホ」体験を提供し人気を博していたライトハウス・イマーシブ社(トロントに本拠地)は全米にイマーシブ デジタル ライト ショーの常設拠点を開設していたが、米国デラウエア州で連邦破産法第15章(いわゆる倒産)を申請した。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/immersive-van-gogh-company-bankruptcy-2342502

スイスのバーゼルにあるバイエラー美術館のチケット売り場で10年以上働いていた女性が、合計100万ドル(約1億4,500万円)以上の横領容疑で起訴された。容疑者は高価な衣服、旅行、車などの購入に使用していた模様。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/fondation-beyeler-embezzlement-2345165

ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館は、大人のチケット料金を25ドルから30ドルに値上げする予定だ。この動きは、ホイットニー美術館が価格体系の同様の変更を発表してからわずか数週間後に行われたもので、新型コロナウイルスによる入場者数の減少と、新たに組合を結成したスタッフの人件費、インフレを考慮したものである。(Artforum)
https://www.artforum.com/news/guggenheim-to-bump-admission-price-to-among-highest-in-nation-90859

スペインのマラガにあるピカソ美術館の従業員らは、賃金や労働条件が他のスペインの美術施設と比べて不平等であると主張し、9月に5日間のストライキを計画している。 その間、同美術館は10月に開館予定の、芸術家が長年にわたって他人に与えた影響を調査した「ピカソのエコー」を設置予定であると発表した。この展覧会はパブロ・ピカソ没後50周年を記念して世界中で開催される多くの展覧会のうちの1つだが、ピカソの出身地であるマラガにあるこの会場でのイベントは他の展覧会よりも注目を集める可能性がある。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/picasso-museum-malaga-workers-plan-five-day-strike-1234676171/

サンフランシスコ近代美術館は最近、100点以上の芸術作品を収蔵したと発表した。 新たな収蔵は、美術館が成長し所蔵品を多様化する中でのSFMOMAの優先事項を表しており、ベイエリアにゆかりのあるアーティスト、LGBTQIA+コミュニティの一員であるアーティスト、女性アーティスト、有色人種アーティストの作品に重点を置いていることがわかる内容になっている。収蔵品には黒川紀章設計の中銀カプセルタワーも含まれる(ArtDaily)
https://artdaily.cc/news/160183/SFMOMA-announces-acquisition-of-more-than-100-objects-that-underscore-collecting-priorities

日本人アーティスト、加藤泉の謎めいた指絵が「不穏なミュータント」のイメージでカルト的人気を獲得している。 加藤の初期の人物像は特に中国語圏のコレクターの間でカルト的な人気を集めているが、今はさらに世界的にブレイクしているようだ。最近パリでペロタンと展覧会を開催した加藤は、最近の躍進はキュレーターで批評家のロバート・ストーの功績だとしている。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/izumi-kato-up-next-2347101

フィリップスがアートからの直接販売ビジネスに参入。アーティスト、コラボレーター、ブランドと提携して、一次市場向けのアートやオブジェクトの限定版作品を購入者に直接販売する Dropshop と呼ばれる新しいプラットフォームを立ち上げる。 新しいプラットフォームは今月ローンチし、ブルックリンを拠点とするアーティスト Cj Hendry の作品を提供する予定だ。(artnet)
https://news.artnet.com/market/phillips-is-launching-a-new-platform-for-direct-art-sales-and-offering-artists-an-unprecedented-royalty-on-resales-it-facilitates-2346110

ウクライナは、制裁対象のロシア人が所有する2014年以来に売買された絵画、彫刻、その他の芸術作品をリスト化したオンラインデータベースを開設した。このプロジェクトの目標は、ロシアの寡頭政治が芸術を利用して制裁を回避したり資金洗浄をするのを防ぐことだ。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/ukraine-database-of-artworks-owned-by-sanctioned-russians-2347644

国連の文化機関であるユネスコは、ヴェネツィアとそのラグーンを危機的状況にある世界遺産リストに含めることを提案した。 同市の大量観光、気候変動、開発プロジェクトに対する被害の防止に十分な進展が見られないとし、イタリアが提案した是正措置は「まだ不十分」だと付け加えた。(ArtDaily)
https://artdaily.cc/news/159910/Venice-faces-an-unwelcome-honor--Joining-the-endangered-places-list

アナベル・セルドルフがニューヨークの新しいデイヴィッド・ツヴィルナーのオフィスを設計。チェルシーにある歴史的な倉庫の2階建ての建物を、クライアントのリサーチ、展示デザイン、アーティストの連絡、出版、マーケティング、IT、人事、レジストラ、およびオンライン販売部門を結集させたミニマルな建築物に改装した。(Wallpaper*)
https://www.wallpaper.com/architecture/david-zwirner-office-selldorf-architects-new-york-usa


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立