海外アートマーケットNews Picks!!:2024年12月前半
◼︎海外アートニュース
オークションハウス
サザビーズがニューヨークの主要オークションの成績不振を受け、ニューヨークオフィスのスタッフ100人を解雇した。大部分はバックオフィス業務、ジュニアスタッフ、さまざまな部門の専門家だという。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/sothebys-staff-layoffs-new-york-patrick-drahi-auctions-1234726860
アーティスト
2024年版英国ビジュアルアーティストの収入と契約に関する報告書によると、英国のアーティストの年間収入の中央値はわずか12,500ポンド(約240万円)である。これは中央値が16,000ポンド(約310万円)だった2010年以来40パーセントも減少しているという憂慮すべき数字であり、調査対象となったアーティストの約80パーセントが、収入が「不安定」または「非常に不安定」であると回答した。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/uk-artists-earnings-dropped-40-percent-since-2010-2575173
ギャラリー
香港を拠点とするライター兼キュレーターで、元デイヴィッド・ツヴィルナー香港のシニアディレクター、レオ・シュー氏が語る、中国アート業界の大きな変化とは。「中国のアート市場は、今年前半よりも不確実性が高く、やや漂流しているように感じます」と同氏は語る。(artnet)
https://news.artnet.com/market/david-zwirner-director-leo-xu-interview-2573283
鑑定
チューリッヒのGermann Auction Houseは、スイスに拠点を置くAI鑑定会社Art Recognitionと提携し、人工知能(AI)のみで鑑定された美術品を販売した。この作品はマリアンネ・フォン・ヴェレフキンによる水彩画で、17,000ドル弱(約2,600,000円)で落札された。 アート・レコグニションは2段階のAI鑑定を提供しており、最も高価なものは真正性の確率と、アルゴリズムのトレーニングデータ、パフォーマンス指標、筆遣いマップに関するデータを含む詳細なレポートを提供する。より安価なものは、作品が本物であることを確認するか否定するかだけだ。結果が95パーセントを超える場合、専門家に相談する必要はないかもしれないとし、80パーセントを下回る場合、専門家による素材分析や評価を勧めることが多いという。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/swiss-auction-house-is-the-first-in-the-world-to-sell-artwork-authenticated-solely-by-ai-1234725695
寄付
匿名の寄付者がミルウォーキー美術館に354万ドル(約5億4,200万円)を寄付したことがわかった。この寄付を基に美術館は基金を設立し、12歳以下の子供の入場を無料にした。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/anonymous-donor-gifts-milwaukee-art-museum-free-admission-kids-12-under-1234725833
アートフェア
アート バーゼル マイアミ ビーチが開幕。22回目の開催の今回は、38か国から286のギャラリーが集まった。最も高価なアート作品はピカソの”Couple with Cup (1969)”で約3,000万ドル(約45億8,800万円)。ギャラリーは素晴らしい作品を展示しており状況は前向きなものの、ガゴシアンのラリー・ガゴシアン氏は「コレクターは時間をかけている」と語った。マウリツィオ・カテランによる花に銃弾の痕を散りばめた新作”Meat”を85万ドルで販売したが、1,000万ドルのウォーホルなど高額な作品は売れなかったようだ。(artnet)
https://news.artnet.com/market/miami-basel-report-2580804
ランキング
芸術界で最も影響力のある人物の年間ランキングを発表。(ArtReview)
https://artreview.com/power-100
Googleが毎年恒例の「Year in Search」を発表した。その中から、2024年に最も検索された美術館トップ10をご紹介。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/google-museums-2024-2584896
美術館
サウジアラビアは、パリのポンピドゥー・センターの2億6200万ユーロ(約419億4,700万円)の改修に5000万ユーロ(約79億3,000万円)を拠出する。この資金はサウジアラビアとフランスの文化当局の協力の一環として設立された遺産基金の一部である。ポンピドゥー・センターは展示スペースの改修のため、2025年から2030年まで閉鎖される。その間展覧会は敷地外で開催される予定だ。(ARTnews
https://www.artnews.com/art-news/news/saudi-arabia-funds-centre-pompidou-renovation-1234726775
メトロポリタン美術館が待望の近現代美術棟のデザインを公開した。この棟は126,000平方フィートに及び、フリーダ・エスコベドが設計している。この建設を支援するために約5億5,000万ドル(約821億円)の個人寄付が集められており、正式オープンは2030年の予定だ。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/met-modern-contemporary-art-wing-designs-frida-escobedo-1234726699
映画
2024年はアート界がどのようなものであり、そしてその未来はどうなるのかを探求するアーティストとその作品の生活を題材にした映画が豊作な一年だった。記事では2024年のアート界最高の映画8本を紹介する。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/greatest-art-world-films-2024-2585397
落札ランキング
今年オークションで落札された最も高額な100点の作品の合計価格は、2023年の24億ドル(約3,689億8,000万円)、2022年の41億ドル(約6,302億2,000万円)と比較して、18億ドル(約2,767億7,000万円)にわずかに届かなかった。1億ドル(約153億7,600万円)以上で落札された作品はルネ・マグリットの「光の帝国」の1点のみで、昨年は2点、2022年は6点だった。記事では2024年にオークションで落札された最も高額な作品10点をご紹介。(Artsy)
https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-10-expensive-works-sold-auction-2024
著者
大胡 玄 (おおご げん)
大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立