海外アートマーケットNews Picks!!:2025年3月前半
■海外アートニュース
美術館
市の財政赤字が迫る中、サンフランシスコ美術館(FAMSF)はレイオフや営業時間短縮を含む大規模な削減を実施する可能性がある。これは市が大幅な赤字に直面しているため、各部署に一般基金の割り当てを15%削減する計画を立てるよう指示したロンドン・ブリード前市長の指示に応じたものである。(San Francisco Chronicle)
https://www.sfchronicle.com/entertainment/article/sf-fine-arts-museums-budget-cuts-20201845.php
寄付
人工知能の動力源となるチップの大手サプライヤーであるNVIDIAの最高経営責任者が、経営難のカリフォルニア美術学校(CCA)を救うため2,200万ドル(約32億6,000万円)以上を寄付した。これは同校の118年の歴史の中でおそらく最大の個人寄付となる。1907年にサンフランシスコで設立されたCCAは財政難のため、4,500万ドル(約66億4,600万円)の募金キャンペーンを行なっていた。理事会全員、一部の元理事、卒業生を含む50人以上の寄付者から2,250万ドルを、ジェン・スン・アンド・ロリ・フアン財団(NVIDIA)から同額を調達し、一時的な危機から脱出した。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/nividia-fundraising-campaign-california-college-arts-2614873
アートマーケット
世界中のオークションデータを集約するフランスのコンサルタント会社アートプライスは、2024年に売れた美術品の価値は99億ドル(約1兆4,707億円)に落ち込み、2009年以来の最低水準となったと発表した。主要な美術品の中心地はすべて大幅な下落を記録し、ニューヨークは29%、ロンドンは28%、パリは21%下落した。世界経済の不確実性によりコレクターが慎重になったためと思われる。中国の市場は2023年の49億ドル(約7,278億9,000万円)からわずか18億ドル(約2,673億9,000万円)に縮小し63%も下落、世界第2位の経済大国の弱さを浮き彫りにした。(France 24)
https://www.france24.com/en/live-news/20250310-global-art-market-slumps-as-chinese-auction-sales-plummet-data
2024年は現代アートの取引が増え世界のアート販売はパンデミック前の水準に戻ったが、100万ドル(約1億4,900万円)以上で売れたロットは大幅に減少したとのレポートが発表された。さらにレポートでは、過去20年間のアートを指しその多くは若いアーティストによるものである超現代美術と呼ばれるカテゴリーの作品が大幅に減少した。トランプ政権が発足以降、買い手はすでに価格に敏感になり、購入をより慎重にしているという。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/artprice-contemporary-art-market-report-2024-insights-1234735186
アートフェア
現在、ニューヨークではアウトサイダー アート フェアが開催中だ。1993年にサンフォード・スミスによって創始されたこのフェアは、スミスが2024年に亡くなってから初めてのフェアであり、9か国から18の初出展ギャラリーを含む66の出展者が参加している。今年の展示は特に充実していると評判だが、記事では見逃せない作品を制作しているアーティスト11名を紹介する。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/knockout-artists-outsider-art-fair-2025-2614239
コレクター
ARTnewsトップ200コレクターのジェフ・ベゾス、ベルナール・アルノー、アリス・ウォルトンは、トランプ政権の新関税と世界的景気後退の可能性に対する投資家の懸念から株式市場が急落したことで、3月7日と3月10日に数十億ドルの損失を被った。NPRによると金曜日の取引終了までに米国の主要株価指数は1週間で2%以上下落し、S&P 500は3.1%下落、9月以来最大の下落となった。3月10日、ウォールストリートジャーナルは、ナスダック総合指数が4%下落したと報じた。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/alice-walton-jeff-bezos-bernard-arnault-stock-market-drop-1234735177
行政
トランプ大統領の最近の大統領令と政策変更が芸術に及ぼす影響とはー。多様性、公平性、包摂性に関する取り組みに対する制限は、すでにスミソニアン博物館を含む国立機関に直接影響を及ぼしており、その他の命令は、助成金の申請、材料の調達、国境を越えたコラボレーションや展示を希望するアーティストにとってさらなる課題につながる可能性がある。この記事では継続的に内容を更新し、追跡を続けていく。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/trump-executive-orders-arts-2605142
オークション
サザビーズとメガギャラリーのペース・ギャラリーが現在、大規模なパートナーシップの交渉を進めている。交渉に詳しい関係者によると買収ではなく、「多面的なジョイント・ベンチャー」であり、「新しいビジネスモデル」となる可能性があるという。この提携が持ち上がった背景には、近年のアート市場の低迷がある。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/sothebys-and-pace-partnership-a-new-model-1234735662
■海外アートフェア
Art Basel 香港 3月26、27日(招待者のみ) 3月28 - 30日(一般公開)
https://www.artbasel.com/hong-kong/at-the-show
著者
大胡 玄 (おおご げん)
大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立