開催レポ【タグコレ企画】何コレ!? たぐコレ! 体験パーク〜カードゲーム & 対話型作品鑑賞〜(6/28)
6月28日、田口邸小ホールにて、アートカードゲーム『PLAY! たぐコレ』を体験できるイベント「何コレ!? たぐコレ! 体験パーク 〜カードゲーム&対話型作品鑑賞〜」を開催しました。
『PLAY! たぐコレ』は、タグチアートコレクションの作品を手のひらサイズのカードゲームとして気軽に楽しめる、“現代アートとおしゃべりできるアートカードゲーム”です。
今回の体験パークでは、公式ゲーム「クエスチョン」と「ストーリー」を楽しんでいただいたほか、アートカードにもなっている作家の作品について、参加者の皆さんと対話をしながら鑑賞を深めました。


まずはアートカードをテーブルに広げ、気になる作品を選んで自己紹介。これらがすべてコレクション作品であるということに皆さんびっくり!作品を選んだ理由にはその人らしい視点が滲み出て、はじめましての方同士もすぐに打ち解けた雰囲気になりました。


最初に体験いただいたゲームは「クエスチョン」です。「どんな味の飲み物?」「どんな夢を見た?」といった付属の「トークカード」のお題に沿って、自分の手札から最も合うカードを選んでお題に答えます。「なるほど!」と膝を打ちたくなるような見立てや、思わず笑ってしまう独創的な発想が次々と飛び出しました。


次に体験いただいたのは「ストーリー」というゲーム。手札のカードを繋げながら、みんなで一つの物語を作っていきます。作品の特徴を捉えつつ捻り出された物語の展開に、会場のあちこちから笑いが絶えません。みんなで一つのものを作り上げるからこそ、場に一体感が生まれるのもこのゲームの特徴です。


体験会の後半では、『PLAY! たぐコレ』のカードになっている作品の一つ、「School Days/E」(2004)の作者である澤田知子さんの「FACIAL SIGNATURE」(2015)を参加者の皆さんと対話をしながら鑑賞しました。この作品は、今年の夏に秋田で開催される「ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション」にも出展される作品です。
<対話の一部を抜粋してご紹介>
・「3つの並んだ顔は、赤・青・黄を表す信号機のよう。左の顔は自分に『止まれ』と言っている赤。真ん中の顔は様子を伺っている黄。右の顔はイケイケで『前に進んで行こう』とする青に見える」
・「信号機という見立てに同意。左の顔は口元は笑っているのに目は笑っていないから、本心を隠している赤。右の顔は自分の気持ちをストレートに出している青。真ん中の顔は、本心を表に出すか迷っている黄色に見える」
・「3つの顔は三姉妹のよう。本心を表に出すかどうか違いはあるけど、自分の生き方が定まっている両端の姉に対し、真ん中の三女は生き方が定まっておらず、その板挟みになっている。黒髪も学生っぽさや、若さを連想させる」
・「3つの顔は能面みたい。見た目で判断されることに憤りを感じているようにも見える」
・「女性はメイクや髪形など、どう見えるかを自分で選択できることを表しているのかも」
・「そもそも外見からその人の本質は分からないということを、訴えている作品だと思う」
澤田さんはセルフポートレートという手法を使って「外見と内面」の関係性について考察する作品を作っているアーティストです。対話の前に「作品に写っている顔はすべて作家本人です」とお伝えしたにもかかわらず、それぞれの顔から性質や性格、心模様を読み取ろうとしまうのは私たち人間の性なのかもしれません。後半は作者が投げかける「外見と内面」という問いについて深く考える対話へと発展していきました。
作品情報
「School Days/E」(2004)
「FACIAL SIGNATURE」(2015)


最後に、小ホールに展示されているMak2の「Home Sweet Home: Love Pool 8」(2022)をみんなで鑑賞。体験会が終わった後も、参加者同士のにぎやかな交流が続きました。

秋田で開催される「ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション」もお知らせも。
遊びを通して、現代アート作品を見て感じたことを自由に話し合う楽しさを味わえることはもちろんのこと、カードを介した出会いをきっかけに、お互いの見ている世界に興味を持つこと、さらにじっくりと作品を鑑賞したり、本物の作品を見る動機へとつながっていくことも「PLAY! たぐコレ」の醍醐味と言えるかもしれません。
今年の夏に秋田で開催される「ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション」では、「PLAY! たぐコレ」の中から12作品が展示されます。ぜひアートカードで遊んだ後に、秋田で本物の作品に触れる体験をしてみてください。
教育普及研究員 田辺 梨絵