海外アートマーケットNews Picks!!:2025年8月
■海外アートニュース
ギャラリー
多くのギャラリストは、多数のアートフェアへの参加に伴うコストの上昇とリスクの高さ、そして「中途半端な」収益に不満を抱いているという。調査によると、対象となったギャラリーのほぼ半数(46%)が1回のフェア参加に3万ポンド(約596万円)以上を、5社に1社(24%)が5万ポンドから10万ポンド(約995万~約1,990万円)を費やしていることが明らかになった。これは出展する上での最大の課題として参加費用の高さを挙げた回答者が83%、続いて売上の不確実性が次に大きな課題であると答えた回答者が77%であることと相関している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/new-2025-survey-galleries-art-fair-model-first-thursday-1234749459
コレクター
12人のアートコレクターが明かす、初心者が犯しがちな最大のミスとはー。著名なコレクター達が過去の失敗から学び、同じ過ちを繰り返さないために心がけていることをアドバイスする。(Cultured Magazine)
https://www.culturedmag.com/article/2025/08/01/art-collector-mistake-guide/
オークション市場
オークションハウスは高級美術品の売上が低迷する中、ますます高級品(ラグジュアリー)カテゴリーへの依存を高めている。クリスティーズ、サザビーズ、フィリップスにおける美術品の売上高は、2022年の同時期と比較して2025年上半期に44%減少した。これは約30億ドル(約4,418億7,000万円)が失われた状況であり、3社は高級ハンドバッグ、ジュエリー、ワイン、ウイスキー、コレクターズカーなどの収益でこの穴埋めをしているようだ。先日もパリのサザビーズで、使い古されたエルメスのバーキンバッグが記録的な1,000万ドル(約14億7,000万円)で落札されている。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/christies-sothebys-auction-houses-luxury-fashion-art-1234749341
行政
ジョン・F・ケネディ国際空港は、42億ドル(約6,188億3,600万円)を投じて新たに建設された第6ターミナルをオープンしする。このターミナルには、ニューヨークを代表する4つの文化施設(ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、アメリカ自然史博物館、リンカーン・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツ)によるインスタレーションが設置される予定で、そのうちの1つはMoMAが2019年の拡張工事で常設したインスタレーション「PEACE is POWER」にインスパイアされたオノ・ヨーコの新作プロジェクトが含まれる。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/new-jfk-airport-art-installations-moma-2677047
オークション
サザビーズが、ニューヨーク・アッパー・イースト・サイドのマディソン街945番地に新本社ブロイヤービルを11月8日にオープンすると発表した。サザビーズは2023年にホイットニー美術館からこの建物を購入し、過去2年間かけて改修工事を行っていた(ホイットニー美術館はこの建物の規模が手狭になったため、2015年にミートパッキング・ディストリクトの新しい建物に移転している。)オープニングは近現代美術の「大ヒット」展と同時開催され、11月17日週には大型セールが行われる予定だ。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/sothebys-to-open-its-new-breuer-building-hq-on-november-8-with-blockbuster-exhibition-1234749349
ラグジュアリーブランド
シャネルはサンパウロ美術館と提携し、女性アーティストのための新たな年間レジデンスプログラムを開始した。毎年選ばれたレジデンスアーティストには、専任のメンターによる指導の下、制作活動を展開するためのスタジオスペースとリソースが提供される。アーティストはサンパウロ美術館で新作を発表する機会を得ることで、美術館という組織の中で高い注目を集める機会を得ることができる。初代受賞者のジュリアナ・ドス・サントス氏は、今週からブラジルの美術館で新作を発表する予定だ。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/chanel-women-artist-residency-2678831
クリエイティブディレクターにジョナサン・アンダーソンが就任したばかりのディオールが、NYのマンハッタン・ミッドタウンに4階建ての新しい旗艦店をオープンした。ピーター・マリノによって設計されたこのフラッグシップは、アートに彩られた花々が織りなすみずみずしいファンタジー空間となっており、話題を集めている。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/dior-manhattan-flagship-contemporary-art-2674538
著者
大胡 玄 (おおご げん)
大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立

