開催レポ【ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション展】澤田知子 ワークショップ「私は、だあれ?」(7/25)

7月25日、「ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション」展の夏休みアートワークショップの第二弾として、澤田知子さんによるセルフポートレートワークショップを開催しました。

澤田知子さんは、セルフポートレートの手法を使い、「外見と内面の関係」をテーマに作品を作るアーティストです。

「絵画には自画像というものがありますが、私の場合、絵を描かずに写真を使って自分の自画像を作っています」と、語る澤田さん。 このワークショップでは、「私は、だあれ?」というタイトル通り、「自分」についてじっくりと考え、そこから見えてきた自分を軸にセルフポートレートを撮影します。

澤田さんご自身の作品についてお話を伺った後、まずは、特製のワークシートを使って自分について発見をしていくワークを行いました。

ワークシートには「私は_______________。でも___________。」といった、自分を多面的に捉えるためのユニークな設問が並んでいて、それに答えることによって自分について考えます。

次に、そこから浮かび上がってきた自分、表現してみたい自分を展示室に撮りに行くのですが、「セルフポートレートは、セルフィーと違って、必ずしも自分が写っていなくていいんです」と、語る澤田さん。作品やその一部、展示室の壁など、写したものに自分が表現されていれば、それは立派なセルフポートレート作品なのだそう。

展示室を一周してから、各自、撮影をスタート。表現したい自分が定まっているからか、皆さん、これだ!という撮影ポイントを見つけるのが早く、ポーズや角度、トリミングなど、どこからどのように撮影すれば自分のイメージを表現できるかという点に注力されていました。

澤田さんに、自分を撮影してもらう参加者も。

撮影後は1人ひとり作品をスライドで投影し、どんな自分をどのように表現したのかを発表しました。

「オレンジ色が好きな自分を表現しました。自分が作品の中に入り込んで見えるように撮り方を工夫しました」(小学生 男子)

「ワークシートを書くなかで、はっきりした自分と、曖昧な状態を好む自分、相反する性格を持っていると気づきました。モノクローム=白と黒がテーマの展示室にあった、汚れやひび割れのある鏡の作品の前で、姿が捉えづらい存在として自分を映しました」(30代 男性)

発表の際、澤田さんが1つ1つ講評してくださるのも、このワークショップならではの体験。表現のアイディアやトリミング、色彩など、プロの視点からお褒めの言葉をいただいて皆さんとても嬉しそう。小学生から中高年の方までの幅広い世代の参加者が、お互いの話に耳を傾けて、それぞれの表現を拍手で称え合う姿もとても印象的でした。

ワークショップの最後には、撮影したポートレート作品を額装してプレゼント。

今回のワークショップは、アーティストと一緒にその思考プロセスや表現を体験する特別な機会になったようです。

当日の様子は、こちらの動画でもご覧いただけます。
夏休みアートワークショップ | 「ミネバネ!」展(秋田県立美術館/秋田市立千秋美術館)関連イベント

教育普及研究員 田辺 梨絵

展覧会「ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション
夏休みアートワークショップ 澤田知子「私は、だあれ?」
日時:2025年7月25日(金)10:30~12:30
会場:秋田県立美術館/レクチャールーム
対象:小学生以上
参加費:500円(材料費)
参加人数:14名

担当:田辺 梨絵(タグチアートコレクション 教育普及研究)
協力:吉本興業ホールディングス株式会社