開催レポ【ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション展】鑑賞ツアー「カードゲームでおしゃべりしよう」(7/25)
7月25日、「ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション」展の夏休みアートワークショップの一環として、鑑賞ツアー「カードゲームでおしゃべりしよう」を秋田県立美術館と秋田市立千秋美術館の2会場で開催しました。

このイベントは、「どんな声が聞こえそう?」「どんな味がしそう?」など、さまざまな問いかけが書かれた「トークカード」を使い、現代アートとのおしゃべりを自由に楽しんでみよう、という趣旨で実施されました。(この「トークカード」は会期中、展覧会場に常設され、自由に利用できる仕組みになっていました)

まずは、タグチアートコレクションの作品を手のひらサイズのカードで楽しめるアートカードゲーム『PLAY!たぐコレ』を使って、アイスブレイク
「この作品の中で、どれが気になる?見てみたい?」
実際に展示されている13作品のカードの中から、気になる作品を参加者から発表してもらい、その後「トークカード」を使って、作品をみて思ったことを話し合う練習をしました。

「自分が選んだ作品はどこにあるのかな?」
期待に胸を膨らませて、いよいよツアーがスタート!小学生チームは「カラー」をテーマにした抽象画の展示室へ向かいました。

セクンディノ・ヘルナンデスの「Untitled (Palette/Painting)」を見て、色とりどりの絵の具が立体的に厚塗りされたテクスチャーにみんなが釘付けに。
「どんな味がしそう?」とい問いかけると、「ここはチョコレートみたい」「これはカラシかな?」と、次々にさまざまなイメージを語ってくれました。

ドナ・フアンカの「HANGISI」の鑑賞の様子。次第に「トークカード」による問いかけが無くても、「これは一体なんだろう?」、「〇〇に見える!」と、子どもたちは自ら作品について考え、発見を楽しむようになりました。
「人間の営み」をテーマにした隣の展示室では、一般の来場者が子どもたちの豊かな発想力に思わず聞き入る場面も見られました。

鴻池朋子さんの「第2章 巨人」という作品では、よりじっくりと作品を鑑賞して話し合う「対話型鑑賞」も行いました。
「おもちゃの剣が降ってきたみたい」
「(渦の中の人間の足を見て)この子は、竜巻に飲み込まれちゃったのかな」
「もしかしてこの子は、おおかみに変身する途中かもしれないよ」
竜巻と同じ大きさに描かれた足を見て、タイトルの「巨人」という言葉を口にする子もいました。


鑑賞ツアー希望を受けての短大生を引き連れた別チームも。こちらの鑑賞もとても賑やかで、淺井裕介さんの作品では「最初は描かれているのはなんの動物なのかな?」という、特徴を描写していくことからスタート。見れば見るほど一般的な動物には見えず「命そのものを表しているよう」「紋章のようなものが描かれていて、異国からやってきたように感じる!」など、お互いの発言から触発されて細かいところまで、対話での鑑賞を楽しんで頂けました。

秋田県立美術館のエントランスに展示された、クサヴィエ・ヴェイヤンの新作モビールを眺めながら。


鑑賞ツアーの終盤では、みんなすっかり現代アートを自由に鑑賞できるように。オノ・ヨーコのチェス(「Play it by Trust」)で遊んだり、塩田千春の「存在のドレス」に見入ったりと、“興味の赴くまま”に楽しむ姿が印象的でした。
参加した子どもたちを引率していた学童の先生、実際に参加した子どもからは、以下のような感想をいただきました。
「子どもたちに寄り添いながらも、グッと完成を引き出してくれて、とーってもよかったです。それぞれの感じたことに共感し、気づかせてくれて、今までに経験のしたことのない時間でした」(学童の先生)
「アートをみんなでおしゃべりしたことで、他のひとたちが感じたことも知ることができて良かった。おもしろかった!」(参加した子ども)
この鑑賞ツアーが、現代アートを自由に楽しむ一つのきっかけにつながることを願います。
教育普及研究員 田辺 梨絵
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展覧会「ミネバネ!現代アート タグチアートコレクション」
夏休みイベント 鑑賞ツアー「カードゲームでおしゃべりしよう」
日時:2025年7月25日(金)14:00~15:30
会場:秋田県立美術館/秋田市立千秋美術館
対象:小学生3〜6年生
参加費:無料
参加人数:15名
担当:田辺 梨絵(タグチアートコレクション 教育普及研究)
サポーターズ:花見 翔(タグメイト)


