海外アートマーケットNews Picks!!:2025年12月前半

■海外アートニュース

展覧会
憂慮すべき事態が多かった2025年だが、暗い状況の中でも希望の光は確かにあった。2025年、ニューヨークで見た最高のアート展 -逆境への忍耐をテーマにしたものが多いことは驚くには当たらないだろうが。10選を紹介する。(ARTnews)
https://www.artnews.com/list/art-news/news/best-art-exhibitions-2025-new-york-1234764820/isaiah-davis-at-kings-leap

2025年はケリー・ジェームズ・マーシャル、エイミー・シェラルド、ラシッド・ジョンソン、ジャック・ウィッテン、ローナ・シンプソン、エリザベス・キャトレットといった著名な黒人アーティストによる個展が数多く開催された一年だった。また、西洋美術史の規範における黒人芸術が社会全体をどのように変えてきたかを示すグループ展も多かった。記事では、彼らの芸術の幅広さとそれが現状に及ぼし得る影響を示した素晴らしい展覧会を6つ紹介する。(ARTnews)
https://www.artnews.com/list/art-news/artists/2025-in-review-black-art-1234765685/project-a-black-planet-the-art-and-culture-of-panafrica-at-the-art-institute-of-chicago-2

映画
2025年アート界のベスト映画:今年を象徴するアート界の映画は、崩壊しつつあるパートナーシップ、デジタル実験、そしてアートが依然として私たちを救ってくれるという切なる希望を探求している。記事では傑作映画を詳細に紹介する。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/best-art-world-movies-2025-2724792

美術館
全米各地の美術館が入場料を30ドル、場合によってはそれ以上に値上げする中、ニューヨークのMoMA PS1は今後3年間、入場料を全面的に廃止すると発表した。クリエイティブストラテジスト、ソニア・ユー氏からの寄付を受け、この計画は2026年初頭の開館50周年を機に実施される。MoMA PS1は既にニューヨーク市民に無料入場を提供していたが、今回この計画を来館者全員に拡大する予定だ。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/moma-ps1-free-admission-sonya-yu-gift-1234765635

ベテラン中国人キュレーターのピ・リー氏が、2026年2月に3年間の契約満了を迎え、香港の大館(タイ・クーン)のアート部門責任者を退任することを、香港文化遺産芸術センターが発表した。ワシントン・ポスト紙は、ピ氏が深圳に新しい美術館を設立するにあたり主導的な役割を果たす予定だと伝えている。後任は決定しつつあり、発表が待たれる。(South China Morning Post)
https://www.scmp.com/lifestyle/arts/article/3335272/tai-kwun-art-head-pi-li-step-down-new-role-shenzhen

ギャラリー
アート市場が再編され中堅アーティストの苦境が続く中、ディーラーの中には予告なく姿を消し、アーティストへの報酬が支払われず、作品は返却されず、スタッフは宙ぶらりんの状態になっている者もいる。そこで今問われているのは、ギャラリーを閉店しなければならない場合、倫理的に、そして頼りにしてくれる人々に害を与えることなく、どのように閉店すればよいのかということだ。(artnet)
https://news.artnet.com/market/how-to-close-your-gallery-2718118

アートフェア
23年の歴史を持つアート・バーゼル・マイアミ・ビーチは、アート以外の分野においても認知度とアクセスを高める媒体として進化を遂げてきたが、今年のフェアはラグジュアリーブランドと人気クリエイターによるアクティベーションで溢れている。記事ではアートバーゼルとトップアーティストやデザイナーとコラボレーションした刺激的なブランド9選を紹介する。(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/discover-9-exciting-brand-collaborations-with-top-artists-and-designers-in-miami/

PACEギャラリーで展示された先駆的なアーティスト、故サム・ギリアムの巨大な絵画から、ビクトリア・ミロで展示された草間彌生の希少な「インフィニティ・ミラー・ルーム」、そしてワインスタイン・ギャラリーで1500万ドル(約23億2,800万円)で競売にかけられたフリーダ・カーロの唯一知られるミニチュア自画像まで、アート・バーゼル・マイアミ2025のハイライト10選をご紹介。(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/discover-highlights-from-art-basel-miami/

女性アーティスト
オークションで最も高額なアーティストのリストは男性が圧倒的に多いことは周知の事実だが、近年は女性アーティストも着実に地位を高めている。そこで、オークションで最も高額な存命女性アーティスト10人を紹介する。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/most-expensive-female-artists-817277

中東
美術館の開設ラッシュが続いているカタール、UAE、サウジアラビアなどの湾岸諸国。この動きは、ルーブル美術館や大英博物館、美術館のインフラや展示デザインからあらゆるものを形作ってきた独立系戦略アドバイザーに至るまで、西側諸国のパートナーを多数引きつけている。彼らの関与はコンサルタント経済の急成長を促したが、同時に議論も巻き起こした。湾岸諸国はこれらの機関を独立して運営する能力を構築しているのか、それとも意図せず外国の専門知識への依存を強化しているのだろうか?(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/gulf-museums-consultants-2725193

不動産
ロサンゼルスのミッドセンチュリーの傑作住宅、スタール・ハウスが初めて不動産市場に登場し話題となっている。この家は第二次世界大戦後の住宅ブームに追随できる手頃な価格のモダン住宅を建設することを目指したケース・スタディ・ハウス計画の一環として建設された。ロサンゼルスの夜空に浮かんでいるかのようなデザインで有名なこのスタール・ハウスは、2,200平方フィート(約183平方メートル)の敷地に2つのベッドルームと2つ半のバスルームを備えており、売却価格は2,500万ドル(約38億7,800万円)。(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/historic-stahl-house-in-los-angeles-hits-market-for-25-million/


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立