ネオン・ロデオ(運び屋、酔っ払いのお巡り、イケてる女たち)
Rosson Crow | ロッソン・クロウ
ネオン・ロデオ(運び屋、酔っ払いのお巡り、イケてる女たち)
2007
Oil, enamel and acrylic on canvas
224.0 x 305.0 cm
アメリカ人の女性画家であるロッソン・クロウは、ロココやバロック、さらにはカウボーイといった幅広い歴史的・演劇的な要素を持つ室内風景をきらびやかに描きます。また彼女は、個人の心理、および国民性がいかに歴史的に重要な出来事によって形作られるかを追求します。クロウの画面は、遠目からはなめらかにも見えますが、近くで見ると幾重にも重なった油彩、エナメル、スプレーペイントの組み合わせによって素材の感触が際立って見えます。またその主題には、ロデオやボクシング、酒場など男性的な娯楽が好んで取り上げられます。
《ネオン・ロデオ》と題された本作は、きらびやかなネオンの光がまばゆい歓楽街が描かれていますが、グラフィティを思わせる滴り落ちるペイントによって、私たちが見ている景色が現実なのか虚構なのか、その区別が曖昧にされています。このように歪められた風景は、私たちの記憶のふたしかさとも重なり、失われた過去に対するノスタルジーの感情が思い起こされます。
(解説 & 翻訳:岩田 智哉)