海外アートマーケットNews Picks!!:2021年7月前半

ヨーロッパの新たな拠点を巡る旅をしたくなりました。オークションやギャラリーも取引が活発です。NFTやブロックチェーンも少しずつ浸透しているようです。

■海外アートニュース

メガコレクターのマヤ・ホフマンが10年以上の時間を費やし完成させた美術館がフランス アルルでオープン。建築はフランク・ゲーリー。ホフマンはスイスの製薬会社エフ・ホフマン・ラ・ロシュの創業家ファミリー(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/luma-arles-opening-1984134

アート業界はバブル景気のように急成長しており、それと同時に”エキスパート”、”アドバイザー”と名乗る人々も増加している。経験も乏しいのに本人が勝手に名乗れば良い業界なので、見極めは大切(artnet)
https://news.artnet.com/opinion/art-advisor-op-ed-megan-fox-kelly-1984260

ペースギャリーは特定のNFTプラットフォームを利用してクリプトアート市場の取り組みを開始した。ギャラリーは実際の作品とデジタルアート作品両方の支払いを暗号通貨でも受付ける(artnet)
https://news.artnet.com/market/pace-gallery-nft-1985646

ドイツのAngela Gulbenkianは草間彌生の黄色いかぼちゃ(立体)の取引で約1億5,000万円を受け取ったものの、作品の引き渡しもせず、資金の返却もせず訴訟に。結果有罪判決となった(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/angelica-gulbenkian-kusama-sculpture-theft-1234598104

Hauser&Wirthは新たな拠点となるスペイン・メノルカ島でMark Bradfordの個展からスタートした。1992年に創立したHauser&Wirthは現在世界9箇所に拠点を持つ。”ギャラリーでの体験が、アート・教育・修復保全・サステナビリティーへと繋がっていくことが我々のビジョン”(Galerie Magazine)
https://www.galeriemagazine.com/hauser-wirth-menorca/

ダミアン・ハーストは、貴方が交換したいならNFTにできる作品10,000点を制作。全て同じサイズ・同じ材料・技法でできているが一点一点違う色使い。(Bloomberg)
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-07-14/damien-hirst-the-currency-artworks-10-000-pieces-for-2-000-each

ドクメンタの2022年版は開催されるのかー主催者は様々な状況を検討をしているが、現在のところ通常通りの開催予定。2022年6月18日ー9月25日、ドイツ・カッセル。(ArtReview)
https://artreview.com/will-documenta-go-ahead-in-2022/

NFT、ブロックチェーンと美術館の良い関係。ロサンゼルス・カウンティー美術館の事例とともに美術館がいかに有効的に活用しているか(Unframed)
https://unframed.lacma.org/2021/07/12/nfts-and-museum-part-1-nfts-101

ハーバード大学美術館はネブラスカ州原住民であったポンカ族の首長が使用していた斧を、民族末裔へ返却すると発表。1877年米国政府はポンカ族へ土地を明け渡しインディアン居住区へ強制移動させた経緯がある。(Hyperallergic)
https://hyperallergic.com/661697

ルシアン・フロイドの展覧会が英国ビクトリア&アルバート Bathで7月10日ー9月19日で開催中。フロイドの複雑(女性&男性含め)な恋愛事情にも触れている展覧会(The Guardian)
https://www.theguardian.com/artanddesign/2021/jul/09/lucian-freuds-gay-relationships-explored-in-new-exhibition

クリスティーズは2021年上半期は約3,900億円の売り上げと発表。かなり活況であり、特にアジアからの買いが強い。平均的な落札率は87%。CEOのギヨームは、”落札率を高水準で維持することに注力した”。アジアからの落札合計は約1,000億円(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/christies-reports-very-strong-3-5-billion-in-h1-sales-asia-ascendant-1234598585/

NYの新たなアートシーンとして注目されているトライベッカ。不動産エージェントのJonathan Travisは6年かけ約18〜20軒のギャラリーをオープンさせた。NYではギャラリー街としてチェルシーが有名だが、元々倉庫街であった同地区は最近富裕層向け高層マンションの再開発が盛んになっている。しかしトライベッカは、市の条例で歴史的建造物保存のガイドラインがある建物が多く、隣に高層マンションが建つこともないので文化的雰囲気の残るトライベッカへの移転を検討するギャラリーも出てきている。(Artsy)
https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-inside-tribecas-booming-gallery-scene-realtor-helped-build

■海外アートフェア情報

9月21日ー26日 アートバーゼル スイス・バーゼル
https://www.artbasel.com/basel

■海外アートオークション情報

7月21日 クリスティーズ NY ファーストオープン:コンテンポラリーアート (オンライン)
https://onlineonly.christies.com/s/first-open-post-war-contemporary-art/lots/2044

7月22日 サザビーズ NY コンテンポラリー (オンライン)
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2021/contemporary-art-online-new-york-3


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立