海外アートマーケットNews Picks!!:2022年2月前半

ロサンゼルスはまだまだ大手ギャラリーの進出が続いていて、これからも増えていくと思います。作家にとっても住みやすい(広いアトリエを持てるなど)都市というのも大きいでしょう。NFTの話題は落ち着きましたが、訴訟などやはり色々と問題も出始めているような時期です。

■海外アートニュース

今年のベニスビエンナーレの参加作家213人のリスト。今年のテーマは"Transhistorical"(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/venice-biennale-2022-artist-list-1234617574

ブルーチップ(財務的に盤石で力のある)ギャラリーはロサンゼルスを目指す。次はリッソンがハリウッドに新スペースをオープン(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/lisson-gallery-los-angeles-location-1234618974

イタリアの MAXXI美術館(イタリア国立21世紀美術館)は SDGs の取り組みで約18億円の政府予算が降りた(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/maxxi-sustainability-initiative-government-funding-1234619012

米国ワシントンD.C. のナショナルギャラリーで、2023年11月から展示作品数100点規模のマーク・ロスコ展が開催される。あまり知られておらず初の調査となる紙の作品も多く出展(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/mark-rothko-paintings-paper-survey-national-gallery-of-art-1234618904/

ディオール オートクチュールのランウェイは巨大なアートインスタレーションとなった。ファッションショーの間、壁にはインド現代アーティストのテキスタイル作品が壁を埋め尽くした。(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/dior-haute-couture-transforms-runway-large-scale-art-installation/

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は、スミソニアン博物館に約220億円の寄付をすると同時に、彼の名前を冠した館も作られる。この契約書にはモラル条項が含まれていないのが良くないのではないか?
モラル条項とは、アマゾンが今後社会的な不祥事などが明るみに出た場合に、博物館側から契約解除ができる条項。昨今のオピオイドを販売していたサックラー家などが念頭にある。(MarketWatch)
https://www.marketwatch.com/story/jeff-bezos-name-will-be-displayed-on-a-new-building-at-the-national-air-and-space-museum-for-at-least-50-years-in-exchange-for-200-million-donation-11643325621

サザビーズはアーティストの Kevin McCoy のNFT $1,500,000 の売買について訴訟を起こした(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/sothebys-kevin-mccoy-quantum-nft-sale-lawsuit-1234618249

ユネスコはパンデミックの影響で、文化財分野で前例のない危機に面しているとレポート。パンデミックにより多くの仕事がカットされ、その影響を受けたのはフリーランスや短期雇用で働いていた美術分野の専門家が多かった。全世界で90%近い文化施設が一時的な閉鎖がありその影響を受けている。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/unesco-report-cultural-sector-crisis-1234618388

米国財務省は40ページに及ぶマネーロンダリングに関する米国内状況レポートを発行した。オークション会社やギャラリーでは、デューデリジェンスやアンチマネーロンダリングのチェックがある程度整備され、実行されており特筆すべきリスクは無いとの結論(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/us-treasury-report-explores-money-laundering-risk-in-art-market-but-stalls-on-regulation-2069564

バイデン政権は、以前トランプ政権時決定された国内連邦ビルのパブリックアート設置に対する制限を解除することを発表。さまざまな地域やコミュニティーを表現する。(Artforum)
https://www.artforum.com/news/biden-repeals-trump-rule-regarding-public-art-commissions-for-federal-buildings-87802

ロバート・ラウシェンバーグ財団は新たな試みに挑戦。カタログレゾネ(作家の全作品集)の内容をオンライン上で”無料”で公開する(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/robert-rauschenberg-foundation-catalogue-raisonne-1234617331/

Pace Gallery と Kayne Griffin は提携して、今年4月にロサンゼルスに新たなスペースを新設する。5年以上共同で事業を進めていた両ギャラリーの提携は、南カリフォルニア地域で、ギャラリー機能と現地アーティストのサポート、地域コミュニティーへの関わりなど多くの利点があると強調(ArtDaily)
https://artdaily.cc/news/143529/Pace-partners-with-Kayne-Griffin-to-open-West-Coast-flagship-in-Los-Angeles-in-April-2022

ネットフリックスの新番組は、美術業界で巨額詐欺を働いた Anna Delvey のストーリー。美術業界の内部を正しく描かれているのか考察(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/what-does-new-netflix-series-about-scammer-anna-delvey-get-right-about-the-art-world-2071541

■海外アートフェア情報

2月17日 − 20日 フリーズLA ロサンゼルス アメリカ 
https://www.frieze.com/fairs/frieze-los-angeles

■海外アートオークション情報

3月第1週はロンドンでコンテンポラリーアートオークションです。

3月1日 クリスティーズ イブニングセール
https://www.christies.com/en/auction/20th-21st-century-london-evening-sale-20661-cks/

3月2日 クリスティーズ デイセール
https://www.christies.com/en/auction/post-war-and-contemporary-art-day-sale-20098-cks/

3月2日 サザビーズ イブニング
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2022/the-now-evening-auction
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2022/modern-contemporary-evening-auction

3月3日 サザビーズ デイセール
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2022/modern-contemporary-art-day-auction

3月3日 フィリップス イブニングセール
https://www.phillips.com/auctions/auction/UK010122

3月4日 フィリップス デイセール
https://www.phillips.com/auctions/auction/UK010222


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立