海外アートマーケットNews Picks!!:2022年10月前半

■海外アートニュース

ナショナルギャラリーオブアートが、所蔵するフェルメールの作品4点のうち1点がフェルメール作ではないと発表した。高度な科学分析により「フルートを持つ女」は別の人物が描いたとされる。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/national-gallery-of-art-vermeers-secrets-2188777

Judd 財団は韓国の Tina Kim ギャラリーと Kukje ギャラリーに対して、新たな訴訟を起こした。取扱いに細心の注意が必要な1991年作、《Untitled》(アルミ、プレキシガラス) を所有していた期間に、彼らがその作品に指紋を付けるなど「取り返しのつかない」損害を与えたと主張している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/judd-foundation-lawsuit-tina-kim-kukje-1234642373

パンデミックによるロックダウンで止まっていたコレクター達の世界各地での作品購入がこの夏ふたたび動き出した。TOP200 のコレクター達による2022年に購入した作品リスト。ウォーホールのデジタル作品から抽象画など、今まであまり注目されなかったアーティストの作品も多く含まれている。(ARTnews)
https://www.artnews.com/list/art-news/news/top-200-collectors-art-purchases-1234641705/anita-blanchard-martin-nesbitt-hughie-lee-smith

来年3月、ムンバイに新しい文化センター(Nita Mukesh Ambani Cultural Centre)がオープンする。展示スペースの他に3つの劇場も併設され、インドの現代アーティストの作品やインドからインスピレーションを受けた西洋のアーティストの作品の展示の他、ダンスや人形劇を含むパフォーマンスも行われる予定。(Artforum)
https://www.artforum.com/news/new-cultural-center-planned-for-mumbai-89416

北京のユーレンス現代美術センター(UCCA)にて、北京を拠点とするアーティストであるリー・ソンソン氏が若い日本の神風特攻隊員を描いた作品「Six Men」が撤去された。中国のソーシャルメディア(Weibo)で拡散されたことにより、政府から撤去命令が出された。(Artforum)
https://www.artforum.com/news/ucca-beijing-pulls-painting-of-kamikazes-courts-controversy-89400

米国証券取引委員会(SEC)は Bored Ape Yacht Club のクリエーターである Yuga Labs 社の調査を開始した。NFT もその他の有価証券と同様に規制するべきかを判断する目的で行われ、まだ告訴されたわけではないが、今回の調査が仮想通貨市場へ与える影響は大きいと思われる。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/sec-investigating-yuba-labs-regulation-2191684

フランスのオークションハウスは約11億円($7.5m)相当で落札されたの中国青磁花瓶を、開始価格約25万円($1,900)と設定した中国美術部門責任者を解雇した。当初、20世紀のコピーであると考えられ約25万円からスタートしたオークションであったが、結果的に18世紀のものであると判断され、最終的約11億円($7.5m)で落札された。(artnet)
https://news.artnet.com/market/auction-house-fires-employee-for-undervalued-vase-2191488

ミシガン州にあるフレデリク・マイヤー庭園と彫像公園が約170億円($115m)かけて実施した拡張工事が終了。コロナ禍により当初の予定より遅れた完成となったが、スペインのアーティスト、ジャウメ・プレンサの作品「ユートピア」などが新しく展示されている。(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/frederik-meijer-gardens-michigan/

ロサンゼルスにあるブロード美術館は、来年5月にキースヘリングの大型展覧会を開催する。約120点の作品が展示される予定。ロサンゼルスの美術館でキースヘリング展が行われるのは実は初めてである。(Los Angeles Times)
https://www.latimes.com/entertainment-arts/story/2022-10-12/keith-haring-art-show-broad-los-angeles

アントワープ王立美術館が約145億円(€100m)の改装工事を終えて、リニューアルオープンした。1890年に建築された宮殿は、中に近代的なギャラリースペースをはめるような形で11年をかけて改装され、展示スペースを40%増築。(studio international)
https://www.studiointernational.com/index.php/royal-museum-of-fine-arts-antwerp-reopens-after-100m-renovation

K11 ミュージアムと WOAW ギャラリーはロサンゼルスを拠点とするアーティストをテーマにした新しいグループ展を開催することを発表した。西海岸のアーティスト30人が香港に集結し、55点以上の作品の展示が行われる。(HYPEBEAST)
https://hypebeast.com/2022/10/hot-concrete-la-to-hk-major-group-presentation-set-to-bring-30-west-coast-artists-to-hong-kong

現代アートの世界的なコレクターであるシェリー・マリンとジョエル・マリンが、これまで多くの作品を美術館に寄贈してきたが、そのまま収蔵庫に入りいつ展示されるかわからないことを知った。そこでサザビーズに全コレクションである1000点以上の作品を出品し、この秋最大級の現代アートのオークションが開催される。サザビーズにて、来週ロンドンより複数回に分けてオークションが始まる。(artnet)
https://news.artnet.com/market/sothebys-mallin-collection-50-million-2187352[/vc_column_text][vc_separator

■海外アートオークション情報

10月9日 クリスティーズ NY    ポール アレンコレクションセールPart1
https://www.christies.com/auction/visionary-the-paul-g-allen-collection-part-i-22010-nyr

10月10日 クリスティーズ NY    ポール アレンコレクションセールPart2
https://www.christies.com/auction/visionary-the-paul-g-allen-collection-part-ii--22011-nyr


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立