Jin Meyerson | ジン・メイヤーソン
1972年韓国、仁川生まれ
現在アメリカ、ニューヨーク州ブルックリンを拠点に活動
ジン・メイヤーソンは1972年韓国、仁川に生まれ、1995年ミネアポリス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業し、1997年ペンシルバニア美術アカデミーを修了、ニューヨークやソウルだけでなく、パリも制作の拠点としていたが、現在は香港で生活しながら制作をしている。
メイヤーソンは、雑誌などの消費材として視覚的な媒体にあるイメージを、作品の源泉として引用する制作方法をとっている。彼はそのイメージを自由に歪め、分割し、引き伸ばし、それらを画面上で再構築することで、サイケデリックな色彩が画面全体を覆っていく。本来あったであろうモチーフがぶつかり合い、帯状になって渦巻き、それぞれが解け合っていく。最初のイメージは崩れ、判別できなくなっているが、作品タイトルにその痕跡を残すことで、絵画を源泉への解読へと誘いながら、視線を渦巻く世界に飲み込んでいく。作品タイトルにある「シェンゲン協定」とは、1985年に成立した協定のことで、ヨーロッパの国家間における国境検査なしの国境往来を許可するものである。現在のEUの理念を先行して実現したこの協定は、グローバルに活動する現代アーティストにとって、重要なトピックかもしれない。出身国が韓国であっても、もはやどの国の作家と言いがたいほど、制作と発表のために世界中を渡り歩く様子は、世界がゆがみ目まぐるしく変化する現実として、脳裏に焼き付いて離れないリアルなイメージであると言える。(岐阜県美術館 学芸員 西山恒彦、Gifu)
Jin Meyerson
Galerie Michael Janssen