母と子(「ピクチャーオブガベージ」シリーズより)
Vik Muniz | ヴィック・ムニーズ
母と子(「ピクチャーオブガベージ」シリーズより)
2008
231.1 x 180.3 cm
Digital c-print
2016年リオデジャネイロオリンピックの直前まで、リオの郊外にはアメリカ大陸最大のゴミ処理場ジャルヂン・グラマーショ(Jardim Gramacho)がありました。捨てられたゴミの山の中からリサイクル出来る素材を拾い集め、業者に売ることで生計を立てる「カタドール」と呼ばれる人々がいて、この母子像はそこで子育てをする母(スーレン)と2人の子供のポートレートです。
1961年ブラジルのリオデジャネイロ生まれのヴィックは、母国ブラジルのこのゴミ処理場で暮らす貧しい人々のこと知りこの地を訪れます。そして、どうしたらアーティストの自分が実質的に彼らの生活を助け、夢を叶えることができるだろうか?彼女達が日々拾い集めているゴミは単なる汚い廃棄物でしかないのか?アートによって何か別の用途や価値をつけ励ますことは出来ないだろうか?と考えました。劣悪な労働環境であっても夢や目的を持って働くカタドールをモデルとし、日々拾めるゴミを使って、7点の作品シリーズ Pictures of Garbage を彼女達と一緒に作成しました。
このシリーズの作品を販売した収益で、ゴミ処理場で暮らし働く人のための労働組合や子供達の為の図書館、保育施設が作られました。この母子像はそのうちの1点で「アートの力 - Power of Art -」を体現した作品です。
また、この作品の制作ドキュメンタリー映画「Waste Land / ゴミアートの奇跡」は第83回アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされました。
(解説:塩原 将志 / 翻訳:梶田 唯)