Practice Makes Perfect

©Djordje Ozbolt

Djordje Ozbolt | ジョージェ・オズボルト
Practice Makes Perfect
習うより慣れろ
2008
148.9 x 128.9 cm
acrylic on board

ジョージェ・オズボルトは1967年セルビアのベオグラード生まれ。故郷で一時的に建築を学んだ後ロンドンに移住し美術教育を受けました。現在は、ロンドンを拠点に活動しています。

彼にとって、絵画を見ること、それを制作することは子供の時から親近感があり、今でも絵を描くことが最も心が躍ることで、ひとつの作品が完成したらすぐに次の作品へと移ります。まるで決して終わることのない永遠の絵画を描くことに取り組んでいるようです。一方で、デジタルカメラやコンピューターなどにはあまり興味がありませんでした。

これまで、世界各地の様々な芸術文化や伝統、宗教などの引用や擬態を用いながら、歴史や文化的背景を自由に組み合わせる作品を多く制作しています。漫画のイメージやファストフードなどキッチュな事物を紛れ込ませることもあります。違和感のある組み合わせからはいささか皮肉も感じ取れます。

本作品のタイトル“Practice Makes Perfect”は「継続は力なり」「習うより慣れろ」などと日本語に訳されます。古典的な絵画を模した背景の上に、無邪気な動物たちの見事すぎるアクションが描かれています。見ていると、ここに至る前後のストーリーをつい想像してしまうのではないでしょうか。あり得ないほど完璧な曲芸に、見事な成果として希望を見出すか、アイロニーを感じるか、「パーフェクト」とはどういうことか改めて考えさせられます。実は、オズボルトは学生時代、徹底的に伝統的なヨーロッパ絵画の手法を学んでいます。その成果が遠近法を用いた「完璧な」背景描写にも表れています。タイトルの言葉はオズボルト自身にも向けられていたのかもしれません。

(解説:塩原 将志 / 翻訳:辻 愛麻)