放っておいて、そしてもし、、、

© Sean Landers. Photo: Oren Slor Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery, Tokyo

Sean Landers | ショーン・ランダース
放っておいて、そしてもし、、、
2006
油彩 / リネン
152.4 x 259.4 cm

ショーン・ランダース(b.1962-)は、ペインティングを中心に彫刻、映像、写真、サウンドなど多様なメディウムを用いて制作するアーティストです。彼のキャリアを通して作品を概観していくと、その表現の多様さと奥行きに圧倒されます。ランダースは一般的な通念として思い描かれる芸術家像そのものを体現したアーティストと捉えることもできるでしょう。ランダースがマルセル・デュシャンやパブロ・ピカソからの影響を明言していることや、彼らの作風を引用していることから、美術のコンテクストを強く意識した作家といえるでしょう。

本作《放っておいて、そしてもし、、、》は、抽象的なイメージの上にグラフィックのようにフレーズや単語が離散的に描かれています。このシリーズにおいてランダースは、制作の過程で頭のなかに不規則に思い浮かぶ言葉を描いています。本作の前に立つ鑑賞者は、ランダースがどのようなことを考えながら芸術作品を生み出しているのか、制作の過程を追体験することができます。本作に記されている単語を読み解いていくと、希望的な意味のものから悲観的なものまであり、ランダースの神経症的で繊細な人物像が表現されていると読み解くことができます。しかし本作が油彩によって描かれていることから、ランダース自身が作品を描く過程で、幾度も自らが記した単語やフレーズを確認しながから描いていることを意味しています。つまり、自らを客観的に観察している過程が本作にはあり、自らを嘲笑的に捉えていると読み解くこともできます。あるいは、自らの意思とは別に、頭のなかでこだまする無意識の感情に対して、タイトルにもあるように「放っておいて」と自らを諭しているともいえるでしょう。

(解説:隅本 晋太朗)