海外アートマーケットNews Picks!!:2023年2月

■海外アートニュース

2月14日、バンクシーによる家庭内暴力に関する新しい壁画「バレンタインデー・マスカラ」が、英国ケント州の海岸沿いの町マーゲートで発見された。しかし個人所有の物件の壁に描かれ、作品に使用された冷凍庫は公共の土地にある為、安全上の理由により公開から数時間後に一部撤去された。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/valentines-day-mural-banksy-domestic-violence-uk-margate-town-1234657352/

マンハッタンにあるノイエ・ギャラリーの創設者であり、化粧品会社の創立者としても名高いロナルド・ローダー氏が、50年間所有していたグスタフ・クリムトの絵画である「黒い羽根の帽子」(1910年)を、元のユダヤ人所有者であるアイリーン・ベランの子孫から再購入する形で合意に至った。金額は公表されていない。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/ronald-lauder-klimt-painting-agreement-jewish-heirs-1234657188

富裕層の間で最近流行りのプライベート・アート・アイランド。貴重な美術品を保管するための島で、所有する貴重なアートを好きなように鑑賞し、人に見せるのも自由。費用は、美術品と島を除いて約2億ドル。島でアートを維持する利点は、本土から離れ、より深く芸術に耽美できることである。(The Guardian)
https://www.theguardian.com/news/2023/feb/13/private-art-islands-the-jaw-dropping-new-luxury-for-the-super-rich

超一流画家ピーター・ドイグは23年間在籍したギャラリーであるマイケル・ワーナーを離れ、独立して活動。ドイグ作品の新作の値段は億になることが多い。世界で最も高価な画家の一人であるドイグが、25年に及ぶ長年のディーラー、マイケル・ワーナーを離れるとは大きなニュースであった。(artnet)
https://news.artnet.com/market/peter-doig-michael-werner-2255044

香港でオークションにかけられた最も高価なナンバープレート。
香港で1文字のナンバープレートが320万ドル(約4億3,000万円)で落札された。2021年の「W」の330万ドル(約4億4,000万円)に次ぐ過去2番目の高値。落札されたのは「R」の文字が入ったナンバープレートで、香港交通局主催の旧正月のオークションで行われたものである。(Insider Business)
https://www.businessinsider.com/hong-kong-license-plate-single-letter-sold-millions-2023-2

テキサス大学オースティン校のブラントン美術館は、ジルベルト・カルデナスとドローレス・ガルシアのコレクションから5,000点以上の作品を寄贈・購入し、ラテンアメリカ美術の主要拠点になろうと計画している。二人は過去60年にわたり、特に版画を重点として、チカーノ・ラテンアートに特化した最大級の個人コレクションを築いてきた。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/blanton-latino-art-acquisition-2255928

オークションハウスのクリスティーズは、オーストラリア発アート・ファイナンスのアートマネーに資本参加し、フィンテック市場に参入する。今回の戦略的合意により、アートマネーは今後12カ月間にクリスティーズの年間売上高のうち約10億米ドルにアクセスできるようになり、より多くの潜在顧客にフィンテックを提供できるようになると予想される。(Australian Financial Review)
https://www.afr.com/street-talk/auctions-giant-christie-s-calls-for-aussie-art-financier-art-money-20230214-p5ckfh

3月9日にクリスティーズでアダム・リンデマンが自身のコレクションの一部をオークションに出品することが明らかになった。(The Business Times)
https://www.businesstimes.com.sg/international/parting-such-sweet-spectacle-collector-sells-his-hirst-koons-and-calder

インディアナ州のバルパライソ大学ブラウアー美術館が、ジョージア・オキーフ、チャイルド・ハッサム、フレデリック・エドウィン・チャーチの作品を、新入生寮の改修資金として推定2000万ドル以上で売却しようと計画し、非難を浴びている。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/brauer-museum-controversial-20-million-deaccessioning-scheme-2254805

L.A. のアート関係者が考える現在の具象絵画ブーム終焉の次に来るもの。地元アーティストたちの新作例を挙げ、感情的風景画(Emotional Landscape)などブームの変換点にあるという。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/frieze-los-angeles-art-trends-2254170

マリアン・グッドマン・ギャラリーは、2024年半ばから後半にかけて、マンハッタンのダウンタウンに新本社をオープンする計画を発表した。現代において最も革新的で影響力のあるアーティストたちの一般公開の機会を増やすことになる。(ArtDaily)
https://artdaily.cc/news/154854/Historic-building-in-Tribeca-to-become-Marian-Goodman-Gallery-s-new-home#.Y_uA3S_3JQI

ニューヨークで最近オープンした最も美しく洗練されたレストラン7選(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/nyc-most-beautiful-restaurants-2023/

マーク・ブラッドフォードとリチャード・プリンスの作品がフリーズ・ロサンゼルス・セールスのトップを飾った。特にコレクターや美術館が熱心にアートを買い求め、アメリカやヨーロッパに拠点を置く機関のコレクションに作品を収めることに成功した(ARTnews)
https://www.artnews.com/list/art-news/news/frieze-los-angeles-2023-sales-1234658083/mark-bradford-at-hauser-wirth-2/

サーチ・ギャラリーは今年2月にビヨンド・ザ・ストリート展をオープンした。この展覧会は、英国で最も包括的なグラフィティ&ストリートアートの展覧会である。(ArtDaily)
https://artdaily.cc/news/154593/Saatchi-Gallery-presents-the-most-comprehensive-graffiti---street-art-exhibition-to-open-in-the-UK#.Y_vldi_3JQI

フリーズ LA2023 のベストブース、歴史を振り返る痛快なものから、バンの中のアートギャラリーまで。(ARTnews)
https://www.artnews.com/list/art-news/market/best-booths-frieze-la-1234657962/dyani-white-hawk-at-vsf/

オルセー美術館は、第二次世界大戦中に盗まれたルノワール、セザンヌ、ゴーギャンの名画4点の返還をパリ裁判所から命じられた。これらの作品は、フランスの有力なディーラーであるアンブロワーズ・ヴォラールが所有していたもので、彼の相続人に返還される予定。(The Art Newspaper)
https://www.theartnewspaper.com/2023/02/16/paris-court-orders-musee-dorsay-to-return-four-nazi-looted-masterpieces-by-renoir-cezanne-and-gauguin

ヒップホップのクロニクルである、サシャ・ジェンキンスが、50周年を迎えたヒップホップの全活動を祝う新しい展覧会について語る。ジェンキンス氏は、フォトグラフィスカの「Hip-Hop: Conscious, Unconscious」展(5月21日まで)の共同キュレーションを担当した。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/sacha-jenkins-qa-fotografiska-hip-hop-2255621

フランク・ロイド・ライトによって設計された住宅の中で唯一、海に面しているクリントン・ウォーカー夫人邸。カリフォルニア州カーメル・バイ・ザ・シー近郊のカーメル・ポイントにあるこの素晴らしい建物 が、希望価格の2200万ドル(約30億円)で売却されたと、ウォールストリート・ジャーナル紙が報じた。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/frank-lloyd-wright-carmel-house-sold-2261003

メディア界の大物、故サミュエル・アーヴィング・ニューハウス氏のコレクションから、近代および戦後の絵画16点が、5月のクリスティーズ・ニューヨークに出品される予定で、合計1億4400万ドル(約2,000億円)以上の値をつける可能性がある。最高値はウィレム・デ・クーニングが1947年に描いたモノクロの抽象画「オレステス」で、2500万ドル(約34億円)以上の値がつくと予想される。(Barron’s)
https://www.barrons.com/articles/a-16-piece-selection-from-s-i-newhouse-could-realize-more-than-144-million-at-christies-840771c6

パームビーチの美術商であるダニエル・エリー・ブアジズが、アンディ・ウォーホルの贋作を販売した罪を認めた。FBI の美術犯罪チームが提出した訴状によると、ブアジズはパームビーチの2つのギャラリーから、ウォーホール、ロイ・リキテンシュタイン、キース・ヘリング、バンクシーといった芸術家の偽の作品を、少なくとも6人に販売した疑いがあると指摘している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/florida-art-dealer-pleads-guilty-selling-fake-warhol-art-crime-1234658587/

ニューヨークのアレキサンダー・グレイ・アソシエイツが17年間活動してきたチェルシーを離れ、近年、ニューヨークのアートの中心地として注目を集めているトライベッカに進出する。リニューアルオープンは2024年早々の予定。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/alexander-gray-associates-leaves-chelsea-moves-tribeca-1234658429/

■海外アートフェア情報

TEFAF マーストリヒト オランダ
3月9日-10日(招待者のみ)・11日-19日(一般公開)
https://www.tefaf.com/fairs/tefaf-maastricht

3月21日-22日(招待者のみ)・23-25日(一般公開)
https://www.artbasel.com/hong-kong

■海外アートオークション情報

サザビーズ ロンドン the now イブニングセール
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2023/the-now-evening-auction

サザビーズ ロンドン 近代&コンテンポラリーアート イブニングセール
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2023/modern-contemporary-evening-auction

サザビーズ ロンドン 近代&コンテンポラリーアート デイセール
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2023/modern-contemporary-day-auction


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立