海外アートマーケットNews Picks!!:2023年4月

■海外アートニュース

LVMH の取締役会長兼 CEO・ベルナール・アルノー が、再び世界一の富豪となった。資産総額は$201billion(約26兆円!)。過去に200billionドルを超えたのはイーロンマスクと ジェフ・ベゾスのみ(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/richest-man-in-the-world-bernard-arnault-1234663285/

Pace、Gagosian、およびその他の大手ギャラリーはなぜこれほど多くのアーティストを引き受け続けているのか。元々メガギャラリーは所属作家は多かったが、この数年で増やしている。Pace や Gagosian は増加しており、Hauser&Wirth はペースダウンしている。David Zwirner は数より質、最近では現存作家で1番高額評価のリヒターが所属となった。数人の人気作家だけに頼るのは財務リスクがある為、大手ギャラリーが所属作家を増やすのは、そのリスクを分散させるためだといえる。 アートバーゼル、UBSアートマーケットレポートのクレアは、複数の金融レポートがアート市場の状況を引き続き活況だとしているがこれは現状と違いミスリードであるとしている。昨年からアート市場はかなり冷え込んでおり、物流や輸送費の高騰によりバイヤーは大幅な値引きを求め、明らかに当初の値段よりも大幅に低い金額で売買が成立している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/why-pace-gagosian-mega-galleries-artist-rosters-1234663300

アート界で最も影響力のある慈善家の 1 人として知られる85歳のアグネス・ガンドは、長年所有したブルーチップの作品を売却し売却益を基金へ投入し続けている。最近ではリヒテンシュタインの作品を約6億円で売却し、ART for Justice Fund に寄付をした。米国では、州によって刑務所への大量収容が問題となっており、出所からの再生プログラムが重要となっている。彼女は高齢にも関わらずコレクションを少しずつ売却し社会問題への助成となるプログラムへの寄付を続けている。(W magazine)
https://www.wmagazine.com/culture/agnes-gund-art-for-justice-interview-2023

葛飾北斎の「大波」の希少な刷りの作品が記録的な280万ドル(約3億7千万円)で落札され、アジア ウィークの順調な市場を示している。 一連の骨董ギャラリーとオークションの売り上げは、中国からの旅行増加にも牽引されて、1億3,200 万ドル(約173億円)という堅調な収益を上げた。(artnet)
https://news.artnet.com/market/great-wave-hokusai-asia-week-new-york-2023-2278321

専門家の主張によると、フィラデルフィア美術館のフェルメールの模倣作品は実際には本物である可能性があるとのことだ。 ロンドンのケンウッド・ハウスにある同作品のバージョンは、長い間オリジナルとして受け入れられている。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/possible-philadelphia-museum-of-art-vermeer-discovery-2280880

Microsoft の元社長・ジョン・シャーリーが、シアトル美術館に48点のアレクサンダー・カルダー作品と、1,000万ドル(約13億3千万円)を寄贈した。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/seattle-art-museum-jon-shirley-donation-alexander-calder-1234663088

アート市場でデータはどのように優位性をもたらすのか?新しい価格データベースに関する artnet の最高戦略責任者アルバート・ノイエンドルフと最高データサイエンティスト、ファビアン・ボカートとの Q&A を掲載。(artnet)
https://news.artnet.com/market/artnet-new-price-database-albert-neuendorf-fabian-bocart-podcast-2280251

FBI は、全米の美術品盗品データベースへのアクセスを公開提供し、盗まれた美術品の特定と場所の特定に役立ち、手がかりを報告することも可能なモバイルアプリを4月10日より無料で配布する。(欧米は美術品盗難に時効無し。)(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/fbi-stolen-art-mobile-app-2284241

イタリア文化省は、気候変動抗議運動の活動中に文化遺産に損害を与えた活動家に罰金(約130万円~700万円)を科し、修理費用を賄う法律を議会で成立を目指している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/italy-climate-protests-cultural-sites-fines-1234663863/

バスキアのジャズへの記念碑的なオマージュである ”Now’s the Time(1985)” が40年ぶりに5月のサザビーズのコンテンポラリーオークションに出品されることがわかった。予想落札価格は少なくとも3,000万ドル(約40億円)と見られる。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/basquiat-nows-the-time-sothebys-auction-1234665016/

イタリアのファッションデザイナー、ヴァレンティノ・ガラヴァーニが所有するバスキアの絵画が5月のクリスティーズのオークションで4,500万ドル(約60.6億円)以上で落札される見込み。この金額はこれまで公に取引された最も高価なバスキア作品の1つになる可能性がある。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/basquiat-the-nile-christies-auction-valentino-1234664756/

写真家のボリス・エルダグセンが A.I. が生成した画像を有名なアートコンペティションに出品し、賞を受賞した。エルダグセンは彼の提出は AI の使用についての議論を促すことを意図していたと述べ、賞を辞退した。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/boris-eldagsen-photography-award-sony-ai-generated-images-dall-e-2286622

パリ中心地に位置し、静かな日本庭園を備えたファッションデザイナー高田賢三の有名な家が売り出し中。約14,000平方フィートの家は著名建築家・隈研吾氏によって2018年にリニューアルされている。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/kenzo-house-paris-for-sale-2283502

ニューヨークのアート界に根ざした英国の画家セシリー・ブラウン。ウェイトレスとして働いた経験を持ち、90年代にマンハッタンに引っ越したときアートを諦めかけたこともあるという彼女が、現在いかに自分が祝福されているかを語った。(The Guardian)
https://www.theguardian.com/artanddesign/2023/apr/16/cecily-brown-the-british-painter-with-the-new-york-art-world-at-her-feet

ダミアン・ハーストの AI 生成作品の最新プロジェクト “The Beautiful Paintings” は、4月10日に終了した9日間の販売期間に5,508点の絵画(5,109点の物理的なアートワークと399点のNFT)を販売、2,090万ドル(約27億円)の収益を上げ、収益性の高い事業であることを証明した。(artnet)
https://news.artnet.com/market/hirst-beautiful-paintings-sale-20-million-9-days-2289386

イギリス当局はヒズボラへの資金提供疑惑で告発されたアートコレクターのナゼム・アフマドに制裁を課すことを決定した。ピカソやウォーホルといった著名な作品を所有していたことでも知られるアフマドは、過激派グループのためにマネーロンダリングを行った疑いが持たれている。(The Guardian)
https://www.theguardian.com/world/2023/apr/18/uk-imposes-sanctions-art-collector-accused-financing-hezbollah-nazem-ahmad

香港芸術発展評議会は、国家安全法に違反している可能性があるという懸念から、2つのプロジェクトの助成金100万香港ドル(約1,700万円)を撤回した。評議会は香港の独立を主張したり、政府を転覆したりするプロジェクトへの助成金を一時停止、調整、または停止する権利があると述べ、資金調達スキームの条件を更新した。(South China Morning Post)
https://www.scmp.com/news/hong-kong/politics/article/3217145/hong-kong-arts-funding-body-pulls-grants-2-projects-over-concerns-they-may-have-violated-national


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立