海外アートマーケットNews Picks!!:2024年10月後半
ロンドンで見たゴッホ展とトレーシーエミン展の模様です。ゴッホは2年間の成熟期、トレーシーエミンは愛、喪失、死、再生をテーマにした新作展です。彼女は癌を患っていますが最近は出身地のマルゲート(英国)に自身の財団設立しアーティストレジデンスの提供など作家活動と同時に若手支援もしています。
ゴッホ展
https://mercury-hallway-970.notion.site/12106217146980f88ef0c87ffe425e95
トレーシーエミン展
https://mercury-hallway-970.notion.site/13106217146980d99469e827339816b2
■海外アートニュース
美術館
マイアミ現代美術館は、故ロサ・デ・ラ・クルスと夫カルロスが運営していた、現在は閉鎖されているアートスペース、デ・ラ・クルス コレクションがかつて使用していたビルを2,500万ドル(約38億3,000万円)で購入し、規模を2倍に拡大する予定だと発表した。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/ica-miami-buys-former-de-la-cruz-collection-building-1234721193
スペインのゲルニカとウルダイバイ生物圏保護区にビルバオのグッゲンハイム美術館の新しい施設を設立する計画が論争を巻き起こしている。新美術館は少なくとも年間14万人の来場者を集めると予想されており、観光客の絶え間ない流入が保護された自然地域に不必要な損害を与えることになると懸念されている。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/guggenheim-bibao-outpost-guernica-urdaibai-faces-opposition-1234721755/
ポンピドゥー・センターが現代中国美術家15名の作品を常設コレクションに追加、コレクションが20%以上拡大したと発表した。15名の芸術家のうち7名が女性で、アリス・チェン、チェン・ウェイらは「目中国:新世代のアーティスト」展覧会に参加していた。今回の取得には芸術と文化の分野で中仏関係を促進してきたシャネルが協力している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/centre-pompidou-chanel-contemporary-chinese-art-art-basel-1234721378
行政
ビジュアルアーティストたちが結集して民主党の大統領候補、カマラ・ハリスのために資金集めをしている。ジェフ・クーンズ、カラ・ウォーカー、エイミー・シェラルド、ジェニー・ホルツァーなどの有名アーティストらが、オンライン慈善オークション「アーティスト・フォー・カマラ」に合計54点の作品を寄贈、150万ドル(約2億3,000万円)を集めることに成功した。(artnet)
https://news.artnet.com/market/works-by-amy-sherald-jeff-koons-and-more-raise-1-5-million-for-kamala-harris-2553199
まもなく始まる大統領選挙でドナルド・トランプが勝利した場合にアート界に与える影響とは?実際の計画はまだはっきりしていないが、前回トランプ氏はイスラム教のいくつかの国からの訪問者を禁止しあらゆる分野のアーティストの入国を阻止したため、米国のアーティスト、美術館、その他の文化関係者から激しい抗議を受けた。また、連邦政府の文化資金を廃止しようとし反トランプのアートやデモが急増した経緯があるため、今回も懸念が高まっている。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/can-art-world-prepare-trump-victory-2549147
アートフェア
新しく修復されたグラン パレで初めて開催されたアートバーゼル パリ。昨年の154ギャラリーに対して195件が参加し、1週間の来場者数は65,000人以上と昨年の38,000人を大きく上回り、常に活気と明るい雰囲気が漂っていた。 記事ではアートバーゼル パリ 2024に売れた主な作品をまとめて紹介する。(Artsy)
https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-sold-art-basel-paris-2024
アーティスト
ゴッホが生前ほんの数点の絵画しか売れなかったという事実はよく知られた伝説だが、ではゴッホはどのようにして史上最も評価される芸術家の一人になったのか?その答えは弟テオの未亡人、ヨハンナ・ファン・ゴッホ-ボンガーの献身によるところが大きい。10年前まで彼女の日記が研究者に公開禁止だったこともありあまり知られていないが、彼女は義理兄の絵画を巧みに、そして精力的に宣伝した人物として評価されている。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/art-bites-who-is-jo-van-gogh-bonger-2551340
マーケット
アート市場の2つの側面:2024年上半期にかけて主要市場で3,600人以上の富裕層(HNWI)の購買習慣を掘り下げたアートバーゼルとUBSの世界収集調査によると、2023年のアートへの平均支出は32%減少の約363,905ドル(約5,600万円)だが、その一方で購入する数は増加していることがわかった。つまり一部の富裕層は、アートに割り当てる個人資産の割合を削減し始めているということになる。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/art-market-spending-while-total-volume-on-the-rise-ubs-art-basel-1234722190
訴訟
ニューヨークを拠点とする社交界の名士でトップ美術品コレクターのリビー・ムグラビが、美術品担保融資会社アート・キャピタル・グループ(ACG)とその幹部2人との実現しなかった300万ドル(約4億6,000万円)の融資をめぐる法廷闘争に巻き込まれている。ACGはムグラビが融資申請に関連する手数料を支払わなかったと主張している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/libbie-mugrabi-art-capital-group-basquiat-warhol-1234721842
スイスの検察当局は今週、著名な美術品収集家で億万長者のドミトリー・リボロフレフに対する刑事訴訟を取り下げ、スイスの美術商イヴ・ブーヴィエの逮捕に関連する容疑を晴らした。リボロフレフ氏はブーヴィエが氏の信頼できる美術顧問を装い、美術品を低価格で購入し高値でリボロフレフ氏に販売したと主張し訴訟を起こしており、今回のスイス検察の決定が法廷闘争にも影響するかに注目が集まっている。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/rybolovlev-cleared-in-swiss-investigation-bouvier-faces-huge-tax-bill-1234721933
ビジネス
ヨットのオーナーが船にアートを持ち込む際は湿った潮風と絶え間ない動き、また乗務員の無知により作品が痛むことを常に気にしなければならなかった。だが最近では、コピーを展示したり、オリジナルをレンタルすることが普通になっている。一部のギャラリーや美術館にはレンタルプログラムがあり、英、米国の物流や保険の調整を含むこのビジネスを専門とする会社は「レンタルにより、オーナーは長期的な金銭的負担なしに、スペースに合った作品をキュレートできる」と主張する。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/yacht-owners-copies-of-original-art-commissions-1234722331
著者
大胡 玄 (おおご げん)
大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立