海外アートマーケットNews Picks!!:2025年1月前半

■海外アートニュース

2024年振り返り
ビエンナーレ抗議運動の嵐、バンクシー作品の急増、そして非常に高価なバナナまで、2024年アート界の最大のトレンド6つをご紹介する。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/2024-trends-2588910

展覧会
2025年もアメリカ全土で新たな展覧会が次々と開催される予定だ。セシリー・ブラウンやラシッド・ジョンソンなどのアーティストによる展覧会から、ゴッホやアルテミジア・ジェンティレスキの傑作の新たな一面まで、25年前半に見逃せない展覧会13選をご紹介。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/us-museum-exhibitions-to-see-2025-2568893

NYのハーレムコミュニティに喜びと美しさを育むために企画された大規模な屋外展示会、ハーレム彫刻庭園が、2025年5月2日から10月30日まで2回目の大規模展示会を開催すると発表した。彫刻とデザイン作品は3つの歴史ある公園と1つの広場に展示される。竹田元弘、コビー・ケネディ、ピーター・ミラー、デビッド・シェルドン、ダイアン・スミス、イリアナ・エミリア・ガルシアなど多くのアーティストが出品する。(ArtDaily)
https://artdaily.cc/news/177276/Harlem-Sculpture-Gardens-announces-its-second-large-scale-exhibition-to-open-May-2025

パブリックドメイン
2025年、アンリ・マティス、フリーダ・カーロ、アンドレ・ドランなどの絵画が著作権保護を失い、米国でパブリックドメインに入る。1954年に亡くなったマティス、ドラン、カーロのすべての作品は、米国および個人著作者の作品が一般的に「生存後70年」で保護を失う国(英国、欧州連合のほとんどの国、南米を含む)でパブリックドメインになっている(アフリカとアジアのほとんどの国では保護期間は「生存後50年」で、1974年に亡くなったクリエイターの作品は現在著作権フリーとなっている。)(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/public-domain-2025-kahlo-matisse-derain-2594461

美術館
イタリアの美術館は来館者数を増やすため、無料の犬の世話サービスを開始した。アラ・パキス美術館、MAXXI 現代美術館、サンタンジェロ城などローマの4つの主要な文化施設で開始され、初日には40人の犬の飼い主がこのサービスを利用したと伝えられている。このサービスは2026年4月まで毎月1日、イタリアの15か所の観光スポットを巡回する予定だ。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/italian-museums-dog-sitting-services-1234730028

新台北市美術館(NTCAM)が4月にオープンする。台北市初の現代美術館となるNTCAMは、対話や共同プロジェクトを通じて市民、アーティスト、そしてより広範なコミュニティと積極的に関わり、単なる文化的ランドマーク以上の存在になることを目指している。市長は4月8日から4月13日までのソフトオープン期間中に住民を美術館の見学に招待しているという。(ArtDependence)
https://www.artdependence.com/articles/new-taipei-city-art-museum-opens-in-april

行政
英国政府が10月に発表した英国企業に対する相続税軽減の削減は、芸術家の財産だけでなく家族経営の企業にも大きな影響を与える可能性がありそうだ。この税制変更では、これまで相続税が免除されていた100万ポンド(約1億9,000万円)以上の事業資産に20%の相続税が適用される。また、「非居住者」(英国外に永住する英国居住者)およびオフショア信託に対する増税も行われる予定で、すでに裕福なコレクターはUAEやイタリアなど、より緩やかな税制の国に移住している。(The Art Newspaper)
https://www.theartnewspaper.com/2025/01/10/uk-tax-changes-spell-trouble-for-artist-estates

都市
2025年に注目すべき世界の都市は?アート界の影響力を強化している世界的な大都市から、新たに活気を帯びているアートエコシステムまで、コレクターやアート愛好家が2025年に注目すべき5つの世界都市名をご紹介。(Artsy)
https://www.artsy.net/article/artsy-editorial-5-emerging-art-capitals-watch-2025

テック
AI、来歴調査、高度な化学分析を組み合わせて美術品を認証するロンドンを拠点とするテクノロジー企業・Hephaestus Analyticalが、科学的な美術品分析会社・ArtDiscoveryを買収した。2009年に設立されたArtDiscoveryは、FBI、サザビーズ、美術館、美術商と協力して美術品を検証してきた経歴を持つ会社だ。この買収によりHephaestusは、ArtDiscoveryの顔料データベース、スペクトルライブラリ、保存修復士チームにより「美術品認証における世界最高の証拠基準」が実現すると述べている。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/hephaestus-analytical-merges-artdiscovery-ai-art-authentication-1234729705

オークション
フィリップスは、2024年の世界売上高が8億4,300万ドル(約1,311億円)、オークション収益が7億2,100万ドル(約1,122億円)と報告した。これは同社が2023年に発表した8億4,070万ドル(約1,308億円)から14パーセント減少している。この減少にもかかわらず、ニューヨーク、ロンドン、ジュネーブ、香港全体でロットごとの販売率が86パーセントであるとも報告された。公開オークションで提供されたアイテムの80パーセントが予想を上回るプレミアム価格で売れたという。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/phillips-2024-sales-auction-figures-down-1234730142


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立