海外アートマーケットNews Picks!!:2025年4月後半
■海外アートニュース
マーケット
Artsyの調査でアート市場の課題が明らかになってきた。「アート市場トレンド2025」によると、2024年にはコレクターの約60%がオンラインでアートを購入し、そのうち73%が前年と同額以上を費やしたと回答しており、特に37歳以下の若年層コレクターはオンライン購入の割合がさらに多く71%となっている。しかしサイトにすべての作品の価格を掲載しているギャラリーはわずか44%で、25%は依然として価格を「問い合わせ」することを義務付けており、ニーズに対応しきれていない状況だ。同様に購入者が重視する「ギャラリーが提供する教育的なコンテンツ」や「価格」についても購入者とギャラリーの実情には乖離が見られた。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/galleries-new-buyers-poor-strategies-artsy-1234739856
アート市場で最も収益性の高いアーティストは誰か?European Old Masters、Impressionist and Modern、Postwar、Contemporary、Ultra-Contemporaryの5つに分けてランキング形式でご紹介。(artnet)
https://news.artnet.com/market/meet-the-art-markets-most-bankable-artists-2627528
HAT100レポートによると、2024年の現代美術作品の売上高は27%減の6億9,800万ドル(約1,001億4,000万円)だった。これは2023年の9億5,600万ドル(約1,371億7,000万円)から減少した数値で、27%減となる。レポートはまた、45歳未満のアーティストによる「ウェットペイント」作品(制作後2年以内にオークションで売却された作品)の総売上高は2023年から64%減の1,410万ドル(約20億2,000万円)に、このカテゴリーの作品数自体も2013年の924点から698点に減少し、そのうち約5点に1点が売れなかったと指摘しており「過去7年間で最も高い割合」だと述べている。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/hiscox-report-contemporary-auction-sales-2024-yayoi-kusama-1234738429
オークション
希少なバスキア初期作品が、NYサザビーズ・コンテンポラリー・オークションで1,000万ドル(約14億4,000万円)から1,500万ドル(約21億4,000万円)の超高額なエスティメートで5月オークションに出品される。1981年、バスキアがわずか20歳の時に制作された幅約1.5メートルのこの作品は、36年間公の場に姿を現していなかった。バスキアの最高落札価格10点のうち9点が1981年から1983年に制作された作品で、サザビーズはバスキアの傑作は依然として売れると確信している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/rare-basquiat-sothebys-contemporary-auctions-in-new-york-1234739897
サザビーズは5月、昨年亡くなった著名な美術商、バーバラ・グラッドストーンの個人コレクションから厳選した作品を販売する。推定1200万ドル(約17億1,000万円)を超える12点の作品は、5月15日夜の現代美術オークションの直前に単独オークションで販売される予定だ。注目すべき作品としては、リチャード・プリンスの「Man Crazy Nurse」(取得時の価格は約100万~150万ドル)、アンディ・ウォーホルの黒い絵画「フラワーズ」(予想落札額100万~150万ドル)などが挙げられる。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/sothebys-barbara-gladstones-personal-collection-may-sales-1234739879
アートフェア
アート・バーゼルが2025年版プログラムのハイライトを発表した。今年は42の国と地域から290の主要ギャラリーが一堂に会し、絵画、彫刻、写真、デジタルアートなど、あらゆるメディアを網羅した素晴らしい作品を展示する。中でも必見なのはカタリーナ・グロッセの作品だ。ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーでキュレーターを務めるナタリア・グラボウスカがキュレーションを担当するその作品は、メッセプラッツとその周辺の建物を鮮やかな色彩の空間へと変貌させるという。(artdaily)
https://artdaily.cc/news/181187/Art-Basel-unveils-program-highlights-for-the-2025-edition
中東
サウジアラビアの現代アートシーンを語る上で、アトゥル・ギャラリーは欠かせないだろう。2009年、モハメド・ハフィズとハムサ・セラフィによってジッダに設立されたアトゥル・ギャラリーは、その後複数の拠点を構え、助成金やレジデンスを提供する財団を設立し「ヤング・サウジ・アーティスト」展シリーズなどのプログラムを開催するまでに成長した。そして2018年、新たに設立された文化省が介入しアートシーンを次のレベルへ引き上げようとしている。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/saudi-arabia-art-scene-athr-gallery-interview-1234739235
クリスティーズのヨーロッパ・中東・アフリカ社長、アンシア・ピアーズ氏に聞く、急成長するサウジアラビアの美術品市場に関する5つの質問。ピアーズ氏は、クリスティーズの若年層のバイヤー層に関する統計データを共有し、アートが変化の力になり得るという同社の信念について語った。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/5-questions-anthea-peers-2623519
コレクター
億万長者のコレクターで音楽界の大物、デヴィッド・ゲフィン氏は、仮想通貨コレクターのジャスティン・サン氏からのアルベルト・ジャコメッティの彫刻の返還要求を断固として拒否した。サン氏は2月に彫刻が所蔵されているニューヨークで訴訟を起こし、この彫刻が従業員によって自身のコレクションから盗まれ、巧妙な詐欺行為の一環として売却されたと主張している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/facing-legal-drama-over-a-giacometti-david-geffen-hits-crypto-collector-justin-sun-with-countersuit-1234738977
5月オークションスケジュール
https://www.ogoartadvisory.com/calendar
(カレンダー内の各オークションをクリックすると、各オークション会社の作品一覧ページにリンクしてます。もしご興味あれば)
著者
大胡 玄 (おおご げん)
大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立