Jacco Olivier | ヤッコ・オリヴィエ

1972年オランダ、クルーティンゲ生まれ
現在オランダ、アムステルダムを拠点に活動

ヤッコ・オリヴィエは、1972年オランダに生まれ、現在もオランダのアムステルダムを拠点に制作している。彼は、もともと大きな絵画を制作しており、ひとつの作品をしばしば1年以上かけて筆を入れ、何層にもわたって塗り重ねる制作をおこなっていた。作品がうまくいく場合とそうでない場合とが生じていたために、どの段階でそれが起きていたかを特定しようと、制作過程ごとに観察するために各段階でカンヴァスを撮影するようになった。その際、大きなカンヴァス作品よりも小さなスライドのイメージの方に魅力を感じ、それを小さく壁に投影することで、現在の作品の提示方法を確立した。コンピューターを導入することで、絵画を複数に断片化し、それぞれを動かすことができるようになった。重ねられた背景も遠景を遅く、近景を早く同じ方向に動かすことで空間を感じさせたり、各場面を溶け合うように展開させたりすることで、鮮やかな動く絵を作り上げた。
「コーリング」では、日常生活の中の何気ない場景が重なる。薄ピンク色の家が漂い、人がカーテンをひいて外を眺める。村の教会が、鳥の羽ばたきと一緒に見えてきて、呼び鈴が通りの電話ブースから聞こえてくると、母親が子どもの手を引いて階段を下りてくる・・・。のぞきこまなくては見えないほどの小さなイメージに、記憶の中の断片が移り変わり、混ざり合いながら、鮮やかな色彩がきらめいている。(岐阜県美術館 学芸員 西山恒彦、Gifu)

Victoria Miro

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