Jason Martin | ジェイソン・マーティン

1970年イギリス、チャンネル諸島、ジャージー生まれ
現在イギリス、ロンドンとポルトガルを拠点に活動

ジェイソン・マーティンは、1970年イギリス、チャンネル諸島の中のジャージー島に生まれ、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジを卒業後、ロンドンを拠点に活動をして、1999年にはリバプール・ビエンナーレのジョン・ムーア21における受賞作家の一人となり、近年ではフランス、ディジョンのル・コンソルティウム(現代アート・センター)で個展を開催するなど、国内外で活躍している。
彼の作品には、アクションペインティングがもつ力強さと、制御された手さばきによる緻密さとが同居し、彫刻と絵画両方の効果を与えているような存在感を持っている。絵画としては、ジャクソン・ポロックやデ・クーニングのように、制作の肉体的なプロセスが表面に残されている。彫刻としては、存在感のある厚みが強調されている。モノクロの作品が多く、ニュアンスに富んだ陰影を生む細くて幅のある無数の筋が引かれている。作品の素材としては、アルミやステンレスあるいはプレキシガラスが使われ、その硬い表面に、油彩顔料やアクリル・ジェルの層が引かれ、そこを細かいクシのような鉄ないし板で、一回あるいは何回か繰り返しひっかいていることがわかる。細かな筋が光を受けることで、リズミカルな肌理が、レコードの溝や濡れた髪の毛、あるいは羽の繊維のようなニュアンスを見せてくれる。そうした作品に対して、本作《ユダ》のように、マーティンは意味深長なタイトルをつけていく。(岐阜県美術館 学芸員 西山恒彦、Gifu)

Lisson Gallery

Judas

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