闘魂

©TENMYOUYA Hisashi Courtesy Mizuma Art Gallery

Hisashi Tenmyouya | 天明屋 尚
闘魂
2008
152.0 x 300.0 cm
acrylic, wood, black gesso, gold brocade
撮影:宮島径

天明屋尚は、伝統的なモチーフと現代的なモチーフを融合させ、それを「ネオ日本画」と称し、作品制作を続けてきたことで知られています。彼の作中では侍とサイボーグが共闘したり、ガンダムが金屏風の主役として登場します。その卓越した画風は、古典的な日本画の緻密さだけでなく、南北朝時代の婆娑羅や、室町末期から江戸初期にかけての派手なかぶきものなど、異端の美学も受け継いでいます。

幅3メートルにも及ぶ作品「闘魂」は、刺青をした侍が、伝統的なスタイルで猛獣を引き連れた男たちに包囲される、幻想的な場面を描いています。裸体を厭わず、男らしさを表現した人物と鎧や装飾を身にまとった獣たちのコントラストが場面を劇的に演出します。意図的に構成された画面の周囲の大部分は、軍隊と砂塵で埋め尽くされていますが、主人公の周囲と画面の右下は黒い余白が残され、彼の退路となっています。主人公は観客に背を向けて立っていますが、その勇ましさはいうまでもありません。

天明屋尚2008年にはミヅマアートギャラリーで作品タイトルと同名の個展を開催しました。

(解説:張 洋宇 / 翻訳:加藤 杏奈)