Aevum

© Go Watanabe, Courtesy of ANOMALY

Go Watanabe | 渡辺 豪
Aevum
アエウム
2009-2012
18 min
Full HD アニメーション (Blu-ray R)

1975年兵庫県で生まれた渡辺は「自分がみているものは何なのか」という現実世界に対する疑問をもとに絵を描いていましたが、何層にも重なるレイヤーでの表現に違和感を感じ、できるだけフラットなものを志向して、3DCG(3Dコンピューターグラフィックス)を用いた作品の可能性を日々探究してきました。

Aevum(アエウム)はラテン語のスコラ哲学の用語で、天使や聖人たちの存在形態を表しています。私たち存在しているものにとっての有限の時間と、天使や聖人の永遠の時間のはざまを表す言葉でもあります。

本作は、3DCGで描いた想像上の人物の肌部分に、実在するモデルの皮膚画像を貼り合わせた静止画像の集積を映像に落とし込んだ作品です。
CGは表面だけで構成されていて中身がないものであり、誰かのようで誰でもない、そんな存在と不在、有限と永遠の境界を漂う匿名の肖像。絶えずゆっくりと揺らぎ続ける顔は息づかいが聞こえてきそうな程のリアルさで、こちらを見つめています。

100年、200年後のヒトは今と変わらずあり続けるのでしょうか。私たちの未来を暗示しているようにも感じられます。

(解説:千田 マミ / 翻訳:梶田 唯)