courtesy Peres Projects, Berlin

Melike Kara | メリケ・カラ
To be titled
2016
200 x 280 cm
acrylic and oil sticks on canvas

メリケ・カラは、クルド人のアレヴィー派(イスラム教の一派)で、トルコでの迫害から難民となり、ドイツに移住した家族のもとに生まれました。このような出自から、デュッセルドルフの美術学校で教育を受けた彼女の作品は、人々が身体的に居住する環境や空間、およびその場所に潜む歴史がアイデンティティの形成にどのような影響を与えるかについて、問いを投げかけます。彼女の絵画では、人々の社会的な営みが、3色程度の少ない色数によって絶妙なバランスで描かれています。しかし画面に登場する人物は身体的な特徴をほとんど剥奪されています。またその振る舞いも断定することはできず、彼らが何者なのか、そこで何が行われているかについての解釈は常に鑑賞者に対して開かれています。
そうした彼女の表現は本作にも見られ、赤系の同系色を中心にうまく引き締まった色彩感覚、画面構成が見られる一方、描かれた人々の属性や関係性、その振る舞いは我々の規定からうまく逃れていきます。このように彼女の作品は、アイデンティティを規定するものは何であるのかを、私たちに多角的に問いかけているようにも思えます。
(解説:岩田 智哉)