© Vik Muniz/VAGA at ARS, NY/JASPAR, Tokyo 2021 G2492

Vik Muniz | ヴィック・ムニーズ
Wanderer above The Sea of Media, after Caspar David Friedrich (Pictures of Magazines 2)
メディアの海の旅人 カスパー・ダーヴィト・フリードリヒにちなんで(「ピクチャーオブマガジン」シリーズ2より)
2011
240.4 x 190.0 cm
digital c-print

1961年ブラジルのサンパウロ生まれのヴィック・ムニーズは、素材とイメージの関係を探求し過去の名作や既存のイメージを用いて、表層は認識性が高く、時には単純だと誤解される程に分かりやすい表現をしています。しかし、そこには対象への調査や研究によって導かれた何層もの思考のレイヤーがあり、意図的に鑑賞者の視覚や理解、解釈と認識を混乱させる領域が作り出されています。

この作品は18~19世紀ロマン主義絵画を代表するカスパー・ダーヴィト・フリードリヒ「雲海の上の旅人」の作品イメージを、雑誌をちぎって作図し、それをカメラで撮影、引き伸ばしプリントしています。遠景の青灰色の空と山の頂き、眼下に見える雲海は山々を被い、無限の広がりを見せています。手前の山頂に立つフロックコートを着た旅人には威厳と崇高ささえ漂っています。

本作品のタイトルは「メディアの海の上の旅人」。素材として使われている雑誌は日々過度に供給されその中にあるイメージ(画像)も大量に消費されて行きます。現代社会において例えるなら、無限に広がるインターネットの大量の情報の雲を前に立ち尽くす私達のようであり、そこに自らのビジョンを持って人々を導く、指導者や経営者の姿のようでもあります。

(解説:塩原 将志 / 翻訳:梶田 唯)