Image courtesy & ©︎Su-Mei Tse

Su-Mei Tse | スーメイ・ツェ
Light
2014
9minutes 24seconds -loop
video on screen

ルクセンブルク出身の現代アーティストであるスーメイ・ツェ(謝素梅)は、日常の中から個人的な記憶を抜き出し、それらをシンボルやメタファーを使って誰もが経験し得る普遍的な体験へと変えてみせます。その表現形式は多様で、立体作品からビデオ、写真、インスタレ-ションまで与えられた場の状況にあわせて空間をつくっていきます。また中国人ヴァイオリニストの父とイギリス人ピアニストの母のもと、常に音楽に囲まれて育ったツェは、パリで美術を学ぶ一方、高等音楽院にて室内楽を中心に修練し、その後音楽の実践を作品に取り入れるようになりました。チェロ奏者でもあるツェは、美術と音楽、東西文化のアイデンティティの間を自然体で行き来し、詩的ハーモニーを紡ぎ出すヴィデオインスタレーション、彫刻、写真など様々な作品を発表しています。

《Light》と題された本作は、ろうそくの火が燃える様子をクローズアップで捉えた映像です。ゆっくりと静かに燃え続ける火は、一見するといつか来る終わりを想像させますが、よく見ると映像の途中から芯が伸びていることがわかります。これは途中から映像が逆再生されていることによります。こうした逆再生という作家のシンプルな操作によって、私たちが何気なく前提する「時間」の概念が宙吊りにされ、また物質および現象の永遠性についても鑑賞者に問いかけます。

(解説 & 翻訳:岩田 智哉)