©Wendy White. Photo by IKKI OGATA.

Wendy White | ウェンディ・ホワイト
ELAN (Sara Takanashi)
2015
250.8 x 172.7 x 3.5 cm
インクジェット、アクリル、キャンバス、ゴールドミラーPVC

1971年アメリカ、コネチカット州ディープリヴァーに生まれ、彫刻家としてキャリアをスタートさせたウェンディ・ホワイトは、伝統的な形にとらわれないキャンバス(支持体)にシルクスクリーンやエアーブラシ、スプレーを用いてストリート感あふれる絵画を制作しています。
空高くV字姿勢で飛行しているのは北海道上川町出身のスキージャンプ選手、高梨沙羅選手です。彼女の使用するスキーの滑走面にはスキーメーカーELAN社と、胸につけたビブスには大会スポンサーの不動産賃貸会社リバブルのロゴが見て取れます。
マスメディアによって露出する彼女の栄光の瞬間を映し出す画像から、私たちはひた向きにパフォーマンスをするアスリートとスポーツ用品ブランド、企業の広告を同時に目にすることになり、スポーツ(純粋性)と経済活動(資本主義)の関係を再認識することになるのです。
スキージャンプは時速100キロ近いスピードでジャンプ台を滑り降り、傾斜に向かって飛び出す、同時に地面からできるだけ遠くに離れ、その飛距離を競う競技です。
「罪人にスキー板をはかせて山の上から突き落とした処刑方法が起源」という説もあるほど危険を伴うスポーツとされ、モーターレースと同様に近年まで女性の競技者が少ない種目でした。ウェンディはプロスポーツやマッスルカー、絵画においては抽象表現主義など男性優位とされていた分野についても取り上げ、作品化し、男らしさを強調する風潮に疑問を投げかけると同時に文化的な解説を超えて「何かに痕跡を残し、世界に自分の居場所を見つけたい。」という人間の持つ帰属意識や承認欲求についても深く追求しています。
(解説:塩原 将志)