1961年ブラジル、サンパウロ生まれ。
現在ブラジル、リオデジャネイロとアメリカ、ニューヨーク州ブルックリンを拠点に活動。

ヴィック・ムニーズは1961年ブラジル、サンパウロに生まれ、1983年ニューヨークに移り、そこを拠点に制作をしている。彼はしばしば、巨匠の名画や写真のイメージを題材に、身近にある物を素材にして再現し、それを写真に収めることで作品にしている。その素材は、砂、砂糖、ジャム、チョコレートなどなど、作品ごとに様々である。近年では、ゴミを素材に、リオ・デ・ジャネイロ郊外のごみ処理場で、リサイクル可能な素材を拾い集める人々、カタドールたちの巨大ポートレイトのモザイク画で話題となった。
本作はファッション写真家リチャード・アヴェドン(1923−2004、アメリカ)撮影によるマリリン・モンローをもとに制作された作品。彼のスタジオで、彼女がしばらく歌い踊ってマリリンを演じていたが、その後、力が抜け、素に戻った所をアヴェンドンが撮影、その写真は、彼女の写真の中で最も有名なものの一つとなった。1957年の撮影から50年の記念に、雑誌「ニューヨーク」が、その写真を元にした新作を、様々な作家に依頼した。その中で、ヴィック・ムニーズは本作を発表、アヴェドンによる写真をジグソーパズルにして数セット用意し、そのピースを微妙にずらしながら撮影している。銀幕のスター、マリリン・モンローではなく、本名の「ノーマ・ジーン」として、彼女を表現している。プライベートでは薬物や男性問題などで騒がれた彼女の、千々に乱れた心情を、パズルが表しているのだろう。(岐阜県美術館 学芸員 西山恒彦、Gifu)