Richard Mosse | リチャード・モス
1980年アイルランド生まれ
現在アメリカ、ニューヨークを拠点に活動
リチャード・モスは、1980年アイルランド、キルケニー州生まれ、キングス・カレッジ・ロンドン卒業後、ロンドン・コーソシアムを経て、ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ、イエール大学で美術を学ぶ。フォト・ジャーナリズムの手法を取り込みながら、アート写真を制作してきたが、2009年に大きくスタイルを変更する。コダック社においてもあまり生産されてこなかった赤外線カラーフィルム「エアロクローム」が製造中止になることをきっかけに、モスはそのフィルムを調べ、作品で取り扱うようになる。そのフィルムは、本来、軍事目的でカムフラージュを見つけ出すために開発されたもの。モスは、それを使い、1998年以降600万人もの死者を出したといわれるツチ族とフツ族の民族対立と資源獲得競争を引き金に起きた第二次コンゴ戦争の現場を撮影して回った。その戦争が終わっていたはずの2012年に、彼は、虐殺の現場を目の当たりにしたという。
彼の作品では、草と迷彩服の緑が鮮明なピンク色に浮かび上がる。歴史の中に忘れられていく、遠い地で起きた悲劇の現場が、鮮やかな色彩で突きつけられ、未だ癒えることのない人類のトラウマとしてフラッシュバックするかのよう。彼は、2013年のヴェネチア・ビエンナーレでアイルランド代表として展示するほどの評価を得る。暗室内に6つのスクリーンが設置されており、16ミリのコダック・エアクロームを使って撮影した40分程の映像が投影された。(岐阜県美術館 学芸員 西山恒彦、Gifu
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