The Exiled Forever Coming into Land
Ged Quinn | ゲド・クイン
The Exiled Forever Coming into Land
永遠に追放された者への上陸
2010
Oil on canvas
200 x 320 cm
イギリス出身のゲド・クインはアメリカ、ヨーロッパなど中心に国際的に活躍する画家です。
薄明かりの空に浮かぶ、焼けた田舎風の家。その下には逆さまのアンティーク蓄音器、ピンク色のオフィスチェア、電灯が光るクリスマスツリー、ウォールドディズニーのような銅像が描かれていて、60-70年代のアメリカのような印象を受けます。いくつかの木は枯れ、人気のないキャンバスの横に立つ白い馬は、悲しげな印象をうけます。
ロマン主義の影響を受けたアメリカのハドソンリバー派、フレデリック・エドウィン・チャーチの未開地の黄昏(1860年)からインスパイアを受けた一方で、この作品に登場する建物やオブジェはむしろ現代社会に対する皮肉的なユーモアやジョークのようです。チャーチの原画とそっくりでありながら、不思議な時空に浮かぶオブジェは奇妙な現象のようです。馴染みある風景から私たちの意識を離し、何か別の物語を探索しているのかもしれません。
過去の残骸、西洋で死を意味する白の馬は、宙吊りにされた時間の中で時代を越え重なり合い、新たな意味を作り出しているようです。終わりの世界、”無”が想像を私たちに呼び起こし、その可能性について問いかけているのかもしれません。
(解説 & 翻訳:宇治田 麻子)