魚にまじって泳ぐクリスティーン2
Julian Opie | ジュリアン・オピー
魚にまじって泳ぐクリスティーン2
2002
Vinyl on aluminum stretcher
250.0 x 250.0 cm
日本の浮世絵や漫画から影響を受けたオピーは、ゴールドスミス大学卒業後、80年代初期のアートムーブメントのブリティッシュ・ニュースカルプチャーの一人として、国際的に活躍する作家です。
南国を思わせる魚たちと共に泳ぐ水着姿のクリスティーン。ポストカードのような印象も受けます。一方で、彼女と魚たちは南国を思わせるカラフルさはなく、白黒で線の細さの違いだけで最低限の要素だけを残して描かれているようです。オピーのバリ島旅行の記憶からこの作品は生まれました。シンプルな平面形の魚は、色々な方向を向いていて、鑑賞者自身が魚の居場所や向きを目で追うことよって作品に奥行きを作り出すようです。それはまた私たちを海の中にいるような不思議な感覚にさせます。
正方形であるこの作品は、遥か彼方の南国「そこ」と私たちのいる「ここ」、海と地上を繋ぐ窓のようですが、クリスティーンと魚の描き方が類似していたり、青一色のみで奥行きのない海は私たちを「そこ」へ近づけると同時に引き離してしまうようです。コンピューターを使ったこの作品は、90年代のビデオゲームように見えます。現実と想像の世界を交差させることによって、私たちの日常の視覚体験、また空間や時間概念に疑問を投げかけているのかもしれません。
(解説 & 翻訳:宇治田 麻子)