開催レポ【タグコレ企画】何コレ!? たぐコレ! 体験パーク〜カードゲーム & 対話型作品鑑賞〜(6/28)

6月28日、毎年恒例となっている、タグチアートコレクションのアートカードゲーム『PLAY! たぐコレ』を体験できるイベント「何コレ!? たぐコレ! 体験パーク 〜カードゲーム&対話型作品鑑賞〜」を開催しました。

今回は、飯田橋にある「公益財団法人公益推進協会」さんの1階イベントスペースをお借りして開催。タグチアートコレクションの「デリバリー展(小中学校に現代アートを届けるプロジェクト)」を支える「タグチ現代芸術基金」が同協会内に設立されているご縁で、今回の開催が実現しました。現代アーティスト・金氏徹平さんの作品に囲まれたスペースの室内は、ポップで楽しい雰囲気です。

体験パークでは、公式ゲーム「クエスチョン」と「ストーリー」を体験いただいたほか、アートカードになっている作品をスクリーンに大きく映し、皆さんと対話をしながらじっくり鑑賞しました。

初対面の方同士、はじめは緊張した面持ちでしたが、カードを使っておしゃべりするうちに表情がほどけ、あちこちから笑い声が聞こえてきます。その人ならではのユニークな解釈につい笑ってしまい、それによって相手との距離が一気に縮まることも、アートカードゲームの大きな魅力の一つです。

付属のトークカードのお題に、手持ちのカードを使って答える「クエスチョン」というゲームでは、「アート好きな板前が考えた斬新すぎる寿司って?」という奇想天外なお題に、「えー!?」とどよめきが起こる場面も。頭の中の普段使わない部分を使って知恵を絞るのも、このアートカードゲームならではの醍醐味です。

カードをつなげて物語をつくる「ストーリー」というゲームでは、7月11日から宮崎県立美術館で開幕する「MIYAZAKI meets タグコレ 現代アートってなんだろう」展の関連作家の作品カード12枚を使って物語をつくる、今日だけの特別ルールでチャレンジしました。同じカードを使っているにもかかわらず、各テーブルのストーリー展開が全く異なるのが面白いところです。

後半の対話による作品鑑賞では、デリバリー展でもお馴染みのジョージェ・オズボルトの作品を鑑賞しました。綱の上を、ヤギとサルが曲芸のような見事なバランスで渡っているという、何とも奇妙な作品です。「どうしてそんなあり得ない状況に陥っているのか……」大人ならではの深い推察に基づくストーリーが語られました。

  • 「環境が破壊されて、綱の上でしか生きられなくなってしまった」
  • 「(破壊された世界で)あり得ないようなバランスで適応して生き残ったのが、この2匹」
  • 「他にも選択肢はあったはずなのに、まるで満員電車に乗る人間のように、知らず知らずのうちに困難な道を選択してしまっているのかも」
  • 「人間が滅びた猿の惑星。サルの勘違いと、それを伝えられないヤギのディスコミュニケーションによって、このような状況に陥っている」

この作品のタイトルは「Practice Makes Perfect(習うより慣れろ)」。人間はどんな状況や環境にも適応してしまうものですが、果たしてそれは良いことなのか、それとも悪いことなのか……。旧ユーゴスラビア出身のオズボルトは、青年期に紛争によって故郷を失うという経験を持つ一方で、ロンドンで西洋美術の伝統的な絵画手法を学んでいます。オズボルトはこの作品に、一体どんな皮肉を込めているのでしょうか。

個人的には、参加者の4歳の女の子が、お母さんの心配をよそに最後まで飽きずに楽しんでくれたことがとても嬉しかったです。
作品鑑賞でも、真っ先に発言してくれました。

現代アート作品は、私たちにイマジネーションを授けてくれると同時に、扉を開けて一歩踏み込んでみると、今世界で起きている問題やそれに対する作者の問いを提示してくれる「世界の窓」でもある。そんな奥深さを、あらためて実感できた一日となりました。

教育普及研究員 田辺 梨絵