Subodh Gupta | スボード・グプタ

1964年インド、ビハール州カゴール生まれ
現在インド、ニューデリーを拠点に活動

スボード・グプタは1964年インドのビハール州カゴールという、インド国内でも貧しい州にある村で生まれ育つ。1988年パトナ美術工芸大学の絵画学科を卒業し、90年にニューデリーに制作の拠点を移し活動、90年代中頃には、故郷の農村の儀式に用いる品々と日用品とを合わせたインスタレーションや、浄穢不二の牛糞を用いたパフォーマンス映像を発表し、注目を集める。2000年以降、インドの食器やバケツなどの日用品を通じて、インドの都市化と消費社会を表現するようになる。今回の展示作品の素材となっているステンレスは、グプタがそうした近代化を象徴的に表現するために用いるもので、かつて真鍮や銅や青銅製のものから変化した、安価で加工しやすい金属が選ばれている。ステンレス製の日用品も、集められると異様な光沢を放っており、「ひまわり」を意味する本作《サンフラワー》も、バケツの中に挿して積み上げられたオタマなどの数々のステンレス製台所用品が、光の射す方へと伸びているかのようである。2008年の個展「Still Steal Steel」では、鏡面のように艶やかな食器が、文字通り「静けさを盗むステンレス」として、大きな音を響かせているかのように落下した様子が描かれ、周囲に絵の具が飛び散り、静物画というジャンルが持つ静謐な様子を覆した。また、昨年から国際的に彼の個展「Everything is inside」の巡回展が開催され、インド社会の近代化に対するグプタの真摯な表現が見られる。(岐阜県美術館 学芸員 西山恒彦、Gifu)

Hauser & Wirth

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