海外アートマーケットNews Picks!!:2023年10月後半

■海外アートニュース

長年にわたって上級学芸員によって博物館から2,000点の工芸品が盗まれていたことが明らかになった大規模な盗難スキャンダルを受けて、大英博物館はコレクションの完全デジタル化に1,200万ドル(約18億円)を費やす計画を発表した。博物館は、このデジタル化プロジェクトが完了するまでに5年かかると予想している。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/british-museum-to-fully-digitize-collection-following-theft-scandal-2381495

パリのポンピドゥー・センターの労働者が美術館の改修計画を前に雇用の確保を求めてストライキに突入、10月16日が閉館となった。報道によると、美術館経営者、政府、主要5労働組合間の交渉会議は「今のところ何も成果を上げていない」という。 ポンピドゥーセンターは長年計画されてきた改修工事により2023年末に閉館し、2027年の創立50周年に向けて再オープンする予定となっている。最後の展覧会は「ピカソ:Drawing to Infinity」になる予定だ。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/paris-centre-pompidou-strike-2023-2379587

ロンドンオークションウィークのトップロットまとめ:
10月にはサザビーズ、クリスティーズ、フィリップスで2億2,100万ドル(約331億8,000万円)を売り上げ、リネット・ヤドム・ボアキー、セシリー・ブラウン、パメラ・エブリンは高値を記録している。(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/discover-top-lots-london-auction-week/

「アートフォーラム」の編集長のデビッド・ベラスコ氏がパレスチナ擁護の公開書簡の発行をめぐって解雇された。この書簡は、10月7日のイスラエルに対するハマスの攻撃について言及も非難もしていないため、かなりの反発を受けた。「常に言論の自由とアーティストの声を擁護してきた雑誌が外部の圧力に屈したことに残念に思う。後悔はしていない」とベラスコ氏は語っているが、署名者であったアーティストのピーター・ドイグ、トマス・サラセノ、ジョアン・ジョナス、カタリーナ・グロッセを含む複数名が名前を撤回し、元の公開書簡の著者はその後本文を修正している。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/artforum-editor-fired-over-pro-palestine-open-letter-2385950

Art Collaboration Kyoto(ACK)、選ばれた日本の各ギャラリーに単一の展示で海外の1つまたは2つのギャラリーと提携するように呼びかけるという既存のフェアとは違うアプローチで注目を集める。その一例として、ニューヨークの47カナルは東京のミサコ&ローゼンと提携し、両ギャラリーの代表を務めるトレバー・シミズが近年制作してきた魅惑的な印象派の風景の一部を展示している。 10月28日から30日まで京都国際会館で開催される今回のイベントは、世界中から出展者が集まり開催される。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/market/art-collaboration-kyoto-preview-1234685028/

ニコラス・パーティーがハウザー&ワースとフリック・マディソンでの新展示に先立ってブルックリンのスタジオで取材に応じた。表現力豊かで宝石のような彼の作品は、美術史に関わるさまざまな参考資料を活用しており、美術館の訪問者やコレクターの共感を呼び続けている。(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/nicolas-party-studio-visit/

アジアで最も影響力のある商業ギャラリーの一つであるタン・コンテンポラリー・アートは、来年の早いタイミングでロンドンに新しいスペースを立ち上げ、西洋に初のギャラリーを構える予定だ。北京に本部を置くこのギャラリーは、アイ・ウェイウェイ、ユエ・ミンジュン、チャオ・ザオなどの中国現代美術の巨匠や、韓国のアーティスト、ペク・ナムジュン、チョン・グァンヨン、ウ・グクォン、リー・ディレンなど、主にアジア出身の約80人のアーティストを紹介している。(The Korea Herald)
https://www.koreaherald.com/view.php?ud=20231022000223

ロンドンを拠点とする1-54フェア(現在アフリカには54か国があることからそう呼ばれている)は、アフリカ美術へのより多くのアクセスを提供するためにアジアに初進出すると木曜日に発表した。最初のプロジェクトは、2024年版のアート バーゼル香港に合わせて、3月の最終週にはクリスティーズ香港のオフィスで小規模な販売展示会の形式をとる予定だ。(South China Morning Post)
https://www.scmp.com/lifestyle/arts-culture/article/3238457/african-art-fair-1-54-make-its-hong-kong-debut-2024-christies-show-after-success-new-york-and-london

10月18日、第2回 Paris+ がグラン パレ エフェメールで大勢の批評家、キュレーター、コレクター、国際VIPを前に開幕した。今年のフェアには、フランスに展示スペースを持つ60ギャラリーを含む33の国と地域から154の一流ギャラリーが参加したが、中でも傑出した6つのブースを紹介する。(Galerie Magazine)
https://galeriemagazine.com/6-standout-booths-paris-par-art-basel/

第2回 Paris+ は盛況のうちに始まったが、アートバーゼルの新しい事業がいつの日かその旗艦フェアの座を奪われる可能性はあるだろうか?
フェア初日のデータを見て、ロンドンや FIAC との比較しすでに新鮮味がないのではないかと疑問を抱く関係者もいた。(artnet)
https://news.artnet.com/market/paris-plus-2023-sales-2380644

草間彌生がサンフランシスコ美術館(SFMOMA)での最新展覧会の開幕直前に、2003年の自伝『インフィニティ・ネット』で黒人に対する人種差別的な記述について言及、「深い遺憾の意」を表明した。「私のメッセージは常に、すべての人々に対する愛、希望、思いやり、そして敬意です。 私の生涯の目標は、芸術を通じて人類を高揚させることです。 苦痛を与えたことをお詫びします。」 草間彌生を特集するSFMOMAは、クロニクル誌のコラムニスト ソレイユ・ホー氏によって批判されていた。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/yayoi-kusama-deep-regret-anti-black-statements-exhibition-sfmoma-1234682506/

ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館が4,500万ドル(約67億5,000万円)の拡張計画を明らかにした。新しい建物により博物館の面積が60パーセント以上増加する予定だ。早ければ来春にも建設が始まる可能性がある。(Artforum)
https://www.artforum.com/news/andy-warhol-museum-reveals-45-million-expansion-plan-518024/

ニューヨークを拠点とする日本人アーティスト、ススム・カミジョウによる初の個展「The Motherland」が Venus Over Manhattan で開催中だ。鮮やかな色合いと巧みにバランスの取れた12点の一連の絵画で構成され、カミジョウの世界を満喫できる内容となっている。展覧会は11月11日まで開催されている。(ArtDaily)
https://artdaily.cc/news/163260/Venus-Over-Manhattan-opens-an-exhibition-of-works-by-Susumu-Kamijo-

■海外アートオークション情報

11月8日 クリスティーズ NY 21st Century Evening Sale
https://www.christies.com/en/auction/21st-century-evening-sale-30071/

11月9日 サザビーズ NY The Emily Fisher Landau Collection: An Era Defined Evening Auction
https://www.sothebys.com/en/auction-catalogue/2023/the-emily-fisher-landau-collection-an-era-defined-evening-auction

11月10日 サザビーズ NY The Emily Fisher Landau Collection: An Era Defined
Day Auction
https://www.sothebys.com/en/auction-catalogue/2023/the-emily-fisher-landau-collection-an-era-defined-day-auction?s=intro

11月10日 クリスティーズ NY 20th Century Evening Sale
https://www.christies.com/auction/20th-century-evening-sale-22055-nyr

11月11日 クリスティーズ NY Post-War & Contemporary Art Day Sale
https://www.christies.com/auction/post-war-contemporary-art-day-sale-22056-nyr

11月15日 フィリップス NY 20th Century & Contemporary Art Evening Sale Part II
https://www.phillips.com/auctions/auction/NY010723

11月16日 フィリップス NY 20th Century & Contemporary Art Day Sale Morning Session
https://www.phillips.com/auctions/auction/NY010823

11月16日 フィリップス NY 20th Century & Contemporary Art Day Sale Afternoon Session
https://www.phillips.com/auctions/auction/NY010923

11月16日 サザビーズ NY The Now Evening Auction
https://www.sothebys.com/en/auction-catalogue/2023/the-now-evening-auction-ny-fall-2023

11月16日 サザビーズ NY Contemporary Evening Auction
https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2023/contemporary-evening-auction-5

11月16日 サザビーズ NY Contemporary Day Auction
https://www.sothebys.com/en/auction-catalogue/2023/contemporary-day-auction-N11180


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立