海外アートマーケットNews Picks!!:2023年11月前半

■海外アートニュース

若い韓国人コレクター、ジェミョン・ノがソウルで新しいアートフェア「ART OnO」を立ち上げ、アジアに変化をもたらすことが期待されている。
ノ氏は「大手アートフェアでは新鮮な芸術作品を入手するのが難しいことに気づきました。優良ギャラリーは同様の作品を持ち込むことが多く、一方、新しいアーティストを扱う小規模ギャラリーは高いブース料金と運営コストに苦戦しています。私達のフェアが気にしているのはプログラムと作品の質だけ。ブース料金も低く抑え、観客に何か新しいものをもたらすことができるプラットフォームを作りたい」と述べた。(artnet)
https://news.artnet.com/market/korean-collector-is-launching-a-new-art-fair-in-seoul-2387625

韓国で大規模な美術品保管センターが来年着工の予定だ。仁川国際空港の敷地内にアジア最大の倉庫を建設する目的で設立された Arshexa がプロジェクトを主導し、昨年仁川国際空港公社と覚書を締結、空港はその土地の43,669平方メートル(470,049平方フィート)を Arshexa に貸し出す。総投資額は3,795億ウォン(約429億8,000万円)で、5階建て延べ面積9万6,347平方メートルで世界最大規模となり、2026年上半期までの稼働を目指す。(Korea JoongAng Daily)
https://koreajoongangdaily.joins.com/news/2023-11-01/culture/artsDesign/Massive-art-storage-center-to-address-Koreas-growing-market/1903408

香港に本拠を置く金融サービス複合企業 AMTD グループが、美術出版社アート・ニュースペーパーを買収した。 同グループは昨年、フランスを代表するファッション&ライフスタイル紙「ロフィシェル」を持つ世界的なメディアグループのロフィシェルを買収していた。この取引は今年6月に発表され10月20日に完了し、同社は30カ国以上で活動する50人以上の特派員のネットワークを持つ、評価の高い国際美術出版物も所有することになった。(Artforum)
https://www.artforum.com/news/hong-kongbased-amtd-buys-art-newspaper-518557/

ニューヨーク近代美術館(MoMA)でエド・ルシェの回顧展 “Ed Ruscha / Now Then” が開催中だ。この回顧展では、絵画、版画、デッサン、製本、インスタレーション・アートなど、彼の多面的な実践の包括的な概要を提供する。現実と幻想の間の弁証法に焦点を当てたアーティストが頑固で無表情なユーモアのセンスの持ち主であり、最終的にはアメリカンドリームについての瞑想に発展したことを明確に表現している。(ARTnews)
https://www.artnews.com/list/art-news/artists/ed-ruscha-artist-who-is-why-art-important-moma-retrospective-1234685047/1234685121/

右翼ジャーナリストのピエトランジェロ・ブタフオコがヴェネツィア・ビエンナーレの次期会長に指名された。芸術と文化のトップリーダーの地位にブタフオコが就いたことは、右派シンパを文化分野全体の権力の地位に押し上げてきた同国の現極右政府の閣僚からも「ビエンナーレ財団は、左派によって友人や信奉者を置く領地と考えられてきました。ブタフオコ氏任命は政権が国のあらゆる文化的、社会的中心地に刻み込みたいと考えている変化を表現している」とコメントを出している。(artnet)
https://news.artnet.com/art-world/who-is-pietrangelo-buttafuoco-venice-biennale-2388603

メリーランド州ポトマックにある現代美術、建築、自然を統合した美術館「グレンストーン」の館長兼共同創設者でありトップコレクターとしても知られるエミリー・ウェイ・ラレス氏が、グレンストーンの今までとこれからについて語った。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/opinion/emily-wei-rales-glenstone-museum-future-1234685154/

アーティストはスクリーンに頻繁に登場するわけではないが、それらの映画には記憶に残るものが多く存在する。今回は芸術や芸術家を題材とした映画22本をご紹介。(ARTnews)
https://www.artnews.com/list/art-news/product-recommendations/best-movies-about-artists-1234680020/artists-and-models-1955/

アートオークションは「必見のテレビ番組」になったのだろうか?サザビーズとクリスティーズが印象派、近現代美術を対象とした大規模なオークションに向けて準備を進めているが、座席を約30%縮小しカメラ、LEDスクリーン、照明のためのスペースを増やして配信に力を入れている。オークションハウスは現在世界中の数百万人の視聴者に向けて配信しており、オンラインでの視聴は一般的な大規模オークションの長さである3時間も販売室に座りたくない人々にとって魅力的であることは間違いなさそうだ。(ArtDaily)
https://artdaily.cc/news/163849/Have-art-auctions-become--Must-See-TV--

パブロ・ピカソが恋人マリー・テレーズ・ウォルターを描いた絵画が、サザビーズの待望のエミリー・フィッシャー・ランドー・セールで1億2,100万ドル(約183億5,279万円)のハンマープライスで落札された。スペイン人アーティストとしてはオークションで2番目の高値となる。 サザビーズは今年初め、ホイットニー美術館の理事を長年務め、私設美術館も所有していたランドーの遺産を扱う栄誉を獲得していた。(artnet)
https://news.artnet.com/market/emily-fisher-landau-picasso-sothebys-2384885

ニューヨークで秋のオークションシーズンが始まり、サザビーズはニューヨークの慈善家でホイットニー美術館の元理事だった故エミリー・フィッシャー・ランドーが収集した作品を出品。手数料込みで4億600万ドル(約615億9,000万円)、31件のロットをまとめた総額は3億5,100万ドル(約532億5,000万円)となり、サザビーズの専門家が予想した見積額上回った。総額4億600万ドルは、オークションにおける単一所有者のコレクションとしてはこれまでに達成された最高額の1つとなる。(ARTnews)
https://www.artnews.com/art-news/news/sothebys-406-m-fisher-landau-sale-sets-records-agnes-martin-mark-tansey-1234686208/

香港の不動産王、株式市場投資家、メガコレクターのジョセフ・ラウ氏は、妻のキムビー・チャン・ホイワンさんが不正投資で200億香港ドル(約2,600億円)以上を失ったという噂を一蹴した。 噂によると、ラウは現在世界で最も負債を抱えている恒大への投資による損失を取り戻すために、優良なアートコレクションを売却せざるを得なくなったという。しかしこれに反論し、約3年前のサンユーの絵画の販売を例に挙げ、自分と妻は適切なタイミングでアート作品を売買していると述べた。 同氏によると、この絵画は約800万香港ドル(100万ドル)で購入され、2億香港ドル(2,600万ドル)以上で売却されたという。(artnet)
https://news.artnet.com/market/joseph-lau-denies-rumors-2392685


著者

大胡 玄 (おおご げん)

大学卒業後
1998年 コーンズアンドカンパニーリミテッド
2004年 ニューヨーク大学教育学部スタジオアーツ写真専攻 修士課程修了
2004年 クリスティーズ(NY) 日本・韓国美術部門
2007年 クリスティーズ ジャパン
アジア現代アート及び NY・Londonのコンテンポラリーアート
個人コレクターを中心に美術品全般の出品/落札に携わる
2019年 株式会社アマナ ARTshelfプロジェクト
2021年 大胡アートアドバイザリー合同会社 設立